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トランプ・バンス体制を作った「極右思想」IT富豪 「トランプ後継」バンス副大統領候補の素顔(下)

東洋経済オンライン / 2024年8月20日 8時0分

そしてバンスは、新興富裕層のポピュリストの知識人が主張する「国家保守主義」の政治的アバターになり、文化問題では右寄りで、経済問題では左寄りの主張を展開している。

このグループは、主にカトリック教徒で構成され、反リベラル派で、大企業には懐疑的で、貿易政策や移民政策では国家主義的な主張を行っている。バンスは子供の頃はプロテスタントであったが、大学では無神論者になり、ティールの下でカトリック教徒に改宗している。

ちなみに、保守派インテリの多くはカトリック教徒に改宗している。プロテスタントは庶民宗教であり、神学的な体系は持たない。だが、カトリックは知的伝統があり、それが保守派インテリを魅了している。

国家保守主義者は、共和党のエスタブリッシュメントを批判する。バンスは「エスタブリッシュメントに愛される代償はおもしろいことが何も言えないことだ。おもしろいことを何も言わなければ、アメリカが抱えている問題を解決する意味のある存在になれない」と、『ニューヨーク・タイムズ』の記事の中で語っている。

さらに「支配層のエリート社会は退屈だ。彼らはまったく反省がなく、ますます間違っている。私はある種の選択をしなければならなかった」と、政界へ足を踏み入れた理由を説明している。オハイオ州の白人労働者をイメージしながら、バンスは「私たちは産業の空洞化が労働者階級の家族を破壊すると理解しなければならない。労働者階級の家族を破壊すると、多くの社会的病理が入り込んでくる」と語る。

攻撃する標的はインテリ層

同記事の筆者は「バンスは自分を奪われた人々の保守的な擁護者だと位置付けている。ただ自分が一緒に育った人々の失敗ではなく、彼が属する専門家階級の失敗を是正しようとしている」と指摘している。バンスの攻撃の標的はインテリ層である。それは、別の場所での発言だが、バンスは「大学は敵である」と過激な発言をしているのも、そうした意識があるからであろう。極めて過激なポピュリズムである。トランプのポピュリズムはご都合主義であるが、バンスのポピュリズムは理論的であり、より強固な主張である。

同記事の筆者は「バンスにとって、過去数十年の物語は、左翼の社会的な寛容と右翼の自由市場の信条と融合して、新自由主義という魂のない倫理を作り出したということだ」と興味深い指摘をしている。バンスは「過去20年または30年のアメリカの女性解放主義者の基本的な嘘は、女性がゴールドマン・サックスの小さな部屋で週90時間働くことが女性の解放だと言っていることだ」とも語っている。

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