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虎に翼モデル「三淵嘉子」が愕然とした"差別文言" 「女性弁護士誕生」と騒がれる事に違和感を抱く

東洋経済オンライン / 2024年8月21日 9時20分

もちろん、女性の地位や権利がいかに惨めなものなのかは、嘉子が法律を学べば学ぶほど実感したことだ。多くの女性が虐げられていることに、無自覚ですらあったと、心を痛めたのも事実である。

それでも、嘉子には、どうしても当時の報道姿勢に引っかかるものがあった。月日が経ってから、胸のモヤモヤをこう説明している。

「私が弁護士を志した動機、そしてこれから弁護士として生きていく目標がか弱き女性のためかといわれると『ハイ』とはいえなかった。女性を含めて困っている『人間』のために何か力になりたいという思いだった」

生涯を通じて「男女平等」を信念に

報道が行われた当時は、 昭和12(1937)年に日中戦争が開始されて、軍国主義に染まりつつあった頃である。

「女性は家庭で戦地の男性をバックアップすべきだ」というムードが高まるなかで、マスコミはそんな社会情勢への反発もあり「女性弁護士誕生」を過熱的に報道したのではないか――。嘉子はそんなふうにも分析している。

そして生涯を通じて「人間として男性も女性も同じだ」という信念を、嘉子は貫くのであった。

(つづく)

【参考文献】
三淵嘉子「私の歩んだ裁判官の道─女性法曹の先達として─」『女性法律家─拡大する新時代の活動分野─』(有斐閣)
三淵嘉子さんの追想文集刊行会編『追想のひと三淵嘉子』(三淵嘉子さん追想文集刊行会)
清永聡編著『三淵嘉子と家庭裁判所』(日本評論社)
神野潔『三淵嘉子 先駆者であり続けた女性法曹の物語』(日本能率協会マネジメントセンター)
佐賀千惠美 ‎『三淵嘉子の生涯~人生を羽ばたいた”トラママ”』(内外出版社)
青山誠『三淵嘉子 日本法曹界に女性活躍の道を拓いた「トラママ」』 (角川文庫)
真山知幸、親野智可等 『天才を育てた親はどんな言葉をかけていたのか?』(サンマーク出版)

真山 知幸:著述家

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