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テストの難問「とにかく悩む子」は成績伸びる根拠 最近の入試では思考力を問う問題が増えている

東洋経済オンライン / 2024年8月21日 12時0分

しかし今はそれとは違います。今までまったく出てこなかった巣穴から「もぐら」が出るようになっているのです。

大学入試は「センター試験」から「共通テスト」に変わっていますが、かなりの割合で「多くの受験生にとって初見の問題」が出題されています。

社会では今まで出題されたことがなかったグラフや統計データが使われることが多くなり、理科でも過去に出題された問題の焼き直しではなく、その場で改めて考えなければならない問題が多く出題されています。

これらの問題は、知識があっても解くことができません。いくら効率よく頭の中に知識を入れ込んでいたとしても、きちんと頭を使わなければ解けない問題が増えているのです。

そのため、冒頭の「答えを教える指導か、悩ませる指導か」という2択の答えは、現在は「悩ませる指導」のほうが正しくなってきています。昔の「もぐら叩き」的な対策を行っていた時期であれば、前者のほうが成績が上がっていたのですが、今では悩ませる指導のほうが求められる時代になってきているのです。

われわれはそんな中で、全国の学校で「思考力をアップさせるための取り組み」として「アカデミックマインド育成講座」という講座を行っています。ここでは、最近の入試で出題されている「思考力を問う問題」や、われわれが作ったその類題を解いてもらい、思考力をアップさせていくという取り組みを行っています。

そこで教えていて驚くのは、生徒がどんどん「粘り強く考える」ということができなくなっているという点です。

例えば、問題を出して「1分間周りの人と考えてみよう!」というと、30秒くらいは周りの生徒と話して「ああでもない」「こうでもない」と相談をするのですが、30秒過ぎると多くの生徒が黙ってしまいます。そこで、「先生、早く答え教えてよ」と言ってくるのです。

「いや、もっと考えてみようよ」とこちらも促すのですが、「これ以上考えたって答え出ないよ」「早く答えが知りたいよ」と言ってきます。多くの生徒が、「考える」ことよりも「答えを知ってそれを覚える」ということに慣れてしまっているのです。

すぐに「答え」を求める子どもたち

最近は、スマホでもAIでも、なんでも答えをすぐに教えてくれるようになりました。わからないことがあったときにChatGPTに聞けば、答えを教えてくれるようになっています。そんな状況に慣れているからか、すぐに「答え」を求めるのです。

一昔前であれば「ヒントください!」と言ってくる生徒が多かったですし、答えを言おうとすると「先生待って!もう少し考えさせて!」と言われた記憶があるのですが、今や子どもたちは「早く答えを教えてよ」というスタンスになってしまっています。

悩む時間は、無駄になるものではありません。短期的には、答えを知っていることで、類似の問題にすぐに答えられるほうが成績が上がるでしょう。でも、それだけでは頭はよくなりません。

長期的に考えると、すぐに答えを求めるのではなく、自分で考えて答えを出そうとすることには意味があるのです。今の子どもたちにはそのことが難しくなってしまっているというのは、由々しき事態だと思います。

親御さんには、ぜひ子どもに対して「あえて悩ませる」という指導をしてもらいたいと思います。すぐに答えを出すのではなく、ヒントを教えてあげる。十分に悩んでいない状態なのであれば、もっと悩むように促す。子どもの脳にいい意味で負荷をかけてあげることで、子どもの成績も今以上に伸びるのではないでしょうか。

西岡 壱誠:現役東大生・ドラゴン桜2編集担当

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