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駅看板の文字「明朝体」「手書き寄り」が静かに流行 公共サインの「書体」も時代と共に変化している

東洋経済オンライン / 2024年8月22日 8時30分

この書体は英文字の部分に、読みやすさに定評のあるNeue Frutiger(ノイエ・フルティガー)という書体が搭載されています。この土地で暮らす私たちだけではなく、海外から来日される方からも読みやすく機能する書体として選択されたことがわかります。

「な」の文字に注目

では、異なる時代にデザインされたこれら3つの書体を比較してみましょう。

上図の中で、特にひらがなの「な」に注目してみてください。

1970年代に発売されたゴナは、筆画の水平線がしっかり強調されており、機械的なニュアンスを含んでいます。そして、1990年代のヒラギノ角ゴシックは、それよりもやわらかな印象となりました。2010年代のたづがね角ゴシックでは、より手書きに近いデザインが採用されています。

最近の世の中の流れとして、親しみやすさや柔らかさを感じられるものが好まれる傾向が見られますが、書体のトレンドも例外ではありません。

今回取り上げている書体がデザイン・発売された年代は、おおよそ20年刻みになっています。ひとつの日本語書体を制作するのには、ひらがなやカタカナだけではなく、数千から数万の漢字を制作する必要があり、2、3年の期間を要します。

そして、それらの書体が発売されて世の中に定着するまでに、数年から10年ほどかかると言われています。そのため、その時々のトレンドがダイレクトに反映されるわけではありませんが、時代の空気を徐々に反映していることがわかります。

長い時間をかけて景色の一部になる

世の中に書体は日本語だけでも3000種類以上あるといわれますが、完璧な書体というものは存在しえません。

公共サインであれば、設置されている環境によって最適な書体というのは変化します。また、ファッションのトレンドに見られるのと同じように、書体もかつて古いと言われたものが斬新に見えるなど、その時代を生きる人の受け取り方によって変わってきます。

多くの書体の中からひとつの書体が選ばれて、それが私たちの日常に馴染み、長い時間をかけて日本の景色を形づくっているのです。

土井 遼太:書体デザイナー/グラフィックデザイナー

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