大阪メトロ堺筋線「飛び地」にある車両基地の内側 阪急沿線、東吹田検車場ならではの作業とは?
東洋経済オンライン / 2024年8月22日 7時30分
「東吹田検車場は広さが約4万1000㎡あり、屋外留置線14線のほか車体洗浄装置や検査場を備えています。所属している車両は堺筋線用の66系17編成で、その定期検査をすべてここで行っています」と、案内してくれた磯部周治さんは話す。
スタッフは全部で45人だが、そのうち2割は事務部門。さらに、車両トラブルに備えた夜勤スタッフもいるため、日中に検車場内で検修にあたるスタッフは意外と少ない。「他の検車場と比べても小規模ですが、その分お互いの顔を見ながら和気あいあいと仕事ができています」。
車両の定期検査は「列車検査」「月検査」「重要部検査」「全般検査」の4種類があり、東吹田検車場ではすべてを実施。そのための設備が備えられている。重要部検査と全般検査を行うエリアでは、ちょうど検査を終えた車体をクレーンで吊り上げ、同じく検査を終えた台車とドッキングさせる「架台下ろし」が行われていた。
「車体の下側に出ているピンを、台車の穴にうまく入れるため、車体や台車の位置を微調整しながら慎重に車体を下ろします」(磯部さん)。ミリ単位の調整が必要となるが、そこはスタッフも手慣れたもの。「東へ一発!(クレーンの操作ボタンを軽く1回だけ押して車体を移動させる)」などと声を掛け合いながら、作業を進めていた。
大規模検査は4両ずつ
「66系は8両で1編成ですが、大規模検査は4両ずつ進めます。いま架台下ろしを行っているのは、重要部検査を終えた天下茶屋方の4両です。この4両は、その後に配線の接続や細かい調整を行い、すでに全般検査が終わっている京都河原町方の4両と連結して試運転へと進んでいきます」(磯部さん)
前4両と後ろ4両では今回受けた検査の内容が異なるが、これはそれぞれの検査で必要となる作業や機器が違うため。検査の時期をずらすことで、作業の平準化を図っている。ちなみに、1編成の大規模検査には約2カ月かかるそうだ。
点検台の上には、整備を終えたパンタグラフが置かれていた。サードレール方式の車両をメンテナンスする緑木車両工場ではお目にかかれないものである。
「パンタグラフの部品のうち、上げ下げに用いるエアシリンダーは緑木にメンテナンスを委託しています。他にも、エアー関係のバルブやドアを開閉する機器、車輪のはめ替えなども緑木まで運び、点検や調整を行っているんです」と、磯部さんと共に場内を案内してくれた棚邉敦士さんが話す。
「逆に、長堀鶴見緑地線や今里筋線の車両で連結器部分に使われている緩衝ゴムは、同種のものを取り扱っている当検車場がメンテナンスを受託しています」
阪急の運転士が連れてくる
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