大阪メトロ堺筋線「飛び地」にある車両基地の内側 阪急沿線、東吹田検車場ならではの作業とは?
東洋経済オンライン / 2024年8月22日 7時30分
検査場の建屋を出ると、ちょうど朝のラッシュ運用を終えた66系が戻ってきた。先述の通り、この検車場は阪急京都本線とつながっているため、ここまでは阪急の運転士が乗務。場内に入ったところで検車場のスタッフと交代する。阪急の運転士は、送迎車で最寄り駅まで戻るそうだ。
66系は阪急車と違って非常扉が片側に寄せられているため、運転台が広々としている。客室と同様、天井にはクーラーの横流ファンが設置されていた。乗務員室は窓が大きいため熱がこもりがちだが、これなら快適に業務ができそうだ。
客室内に足を進めると、扉や床、座席の表地のイラストが目に留まった。
「2015年から進められている更新工事に合わせて、車内のデザイン変更が行われています。デザインは2種類あり、こちらのデザインは沿線に今宮戎神社や堀川戎神社があることから『恵比寿様』をモチーフとしています。一方、初期に更新工事を受けた3編成は、同じく沿線にある天王寺動物園にちなんだデザインとなっています」(棚邉さん)
そちらは扉がヒョウ柄となっているものの、座席や床は一般的な模様でおとなしめの印象……と思ったのだが、よく見ると貫通扉の窓ガラスに動物が描かれていたり、各所に“隠れキャラ”がいたりと、こちらも遊び心が満載。無味乾燥になりがちな地下鉄車内で、心が和みそうだ。
これらの更新車両は、制御機器も換装されたことで走行音が変化。前面デザインも一新されている。
“大阪らしい”デザイン
「こうしたデザインは、お客様に“大阪の地下鉄らしさ”を楽しんでほしいという思いからですが、私たちの最大の役割はお客様が安心してご乗車いただける車両を提供することです。安全面はもちろん、たとえば加減速の時にガクガクしない、台車から変な音がしないなど、快適に乗ってもらえるよう万全のメンテナンスで送り出しています」(棚邉さん)
「66系は大阪メトロの車両で最高速度が一番速く、独特の設備も多いため、仕事のやりがいも大きいです。台車の仕組みなども他路線の車両と違いますので、特に鉄道ファンの方はそういった点にも注目してもらえると嬉しいですね」(磯部さん)
取材が終わるころ、架台下ろしを終えた4両が入換用の機関車に引っ張られて建屋の外へと出てきた。1週間ほど後には本線で試運転が行われ、営業運転に復帰するという。大阪メトロの本線から離れた“飛び地”で、安全運行に向けた作業は絶え間なく続く。
伊原 薫:鉄道ライター
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