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パリ五輪、選手の不満が続出したモヤッとする真相 次回のロス五輪に向けて突きつけられた大課題

東洋経済オンライン / 2024年8月22日 8時30分

トライアスロンなどの会場となったセーヌ川は水質が問題視された(写真:Bloomberg)

パリ五輪が閉幕し、8月28日にパラリンピックの開催を控えたフランスでは、五輪の総括がポツポツと出始めている。

【写真を見る】さまざまな不満の声があがったパリ五輪

2015年に気候変動問題に関する国際的な枠組み「パリ協定」が採択された地ということで、パリ五輪組織委員会は大会の主要ビジョンを気候戦略に置くことを強調した。CO2の排出量を158万トン(リオ五輪やロンドン五輪の半分以下)にする目標を掲げ、「環境に優しい五輪」を目指すことになった。

五輪スポンサー企業も環境問題に本腰を入れている企業が選定され、大会期間前後の企業活動も含め、その取り組みの数値化、透明化を求めることとなった。

しかし、炭素価格の国際専門機関で欧州連合(EU)に政策提言を行う非営利団体(NGO)、カーボンマーケットウォッチによれば、CO2排出量を半分以上削減するというこの目標が達成されたかどうかは不明だとしている。

食事に「肉が足りない」という不満

環境に優しい五輪をうたったが、選手にとっては厳しい五輪に映ったかもしれない。その象徴の1つが選手村だ。フランス国外から来た選手は、料理に不満を爆発させた。多くの選手は過酷な競技に備え、通常以上のたんぱく質の摂取が必要になる。にもかかわらず、ヴィーガン料理が中心だったことから、「肉が足りない」という声も上がった。

その背景には、フランスは大農業国であり、同時に世界最大のBIO(オーガニックや有機食品)大国ということもある。今はBIO市場が頭打ちとはいえ、すっかり食生活に定着し、BIOワインも人気だ。

1食当たりのCO2排出量を基準値内に抑える取り組みを含め、調達する食料品は地産地消に徹底した。摂取できるカロリー、製造コストなどはさまざまに制限された。さらに動物飼育のCO2排出、動物保護からも肉が避けられた。

味についても「とてもまずい食事」「魚に虫が入っていた」との感想が相次いだほか、衛生管理面、選手らを長時間レストラン内で並ばせるといったオペレーションの不備もやり玉に挙がった。

選手村への不満は料理だけではない。部屋にはカーテンもエアコンもなかった。これも理由はCO2排出を抑えるため。エアコンの代わりに、床下に張り巡らされた管に冷たい地下水を通す床冷房を設置したが、猛暑を懸念して日本のようにエアコンを自費で持ち込んだところも少なくなかった。

それ以外にも、部屋の清掃が毎日ではなく、シーツも毎日は変えないために、清潔さが保てないとの声もあった。

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