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自給率100%のコメが品薄になった不都合な真実 価格は6月に急騰、来年にかけて高値は続くか?

東洋経済オンライン / 2024年8月23日 10時0分

コメ価格が急騰した4つの原因

今回の米騒動で指摘されている原因は主に次の4点だ。

①昨年夏の猛暑による高温・渇水被害により、米どころの新潟などで一等米の比率が低くなり、精米された商品が少なかった

②ロシアのウクライナ侵攻、原油高以降の食品の値上げラッシュの中で、すぐに値上げに向かわなかったコメへの需要高まり

③外国人観光客の激増による需要増

④南海トラフ関連情報など直近の地震多発による消費者の買いだめ

農林水産省の最新の需要動向(2023/2024年)によると、前年の691万トンから11万トン多い702万トン(速報値)となった。これまで毎年約10万トンペースで減少してきていたから、大きな変化だ。

総務省の家計調査でもコメ消費の高まりが明らかになっている。2023年1年間のコメの販売数量(2人以上の世帯)は56.65キログラムで前年比98.7%だったが、2024年になると1-6月の販売数量は25.81キログラムで前年同期比102.4%と増加基調にある。パン類は前年同期比101.2%、麺類は同99.1%だからコメ回帰がうかがえる。

さらに供給面にも目を向けると、農家の作付け意欲の低下という要因が浮かび上がる。主食用米の作付け状況を見ると、2017年度に137.0万ヘクタールあったのが2023年度は124.2万ヘクタールにまで1割減少している。高齢化、後継者難の問題も大きいが、農林水産省の政策の影響も無視できない。

国策により作付けが増えない

「農林水産省は2024年度予算で水田を活用して麦、大豆、飼料作物、WCS用稲、飼料用米、米粉用米を生産する農業者支援のため3015億円を計上しています。

かつては需要減から減反政策をとってきたのですが、最近は新市場開拓用米(輸出用米等)など従来の米作りからの転換を促す政策に変わってきているかのようです。このため、作付け意欲を見ても主食用米では前年より増加は16県にとどまっていますが、加工用米は20県、新市場開拓用米は29県、米粉用米は19県といずれも主食用米を上回っています。

この秋の作柄次第ではありますが、この秋から来年にかけても主食用米が十分に行き渡らない状況が出てきてもおかしくはありません」(農政関係者)

実際、この先のコメの需給バランス、価格動向について流通関係者はどう見ているのか。毎年、年間契約で必要な数量を確保してきているという中堅スーパーの担当者に話を聞いた。

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