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「2歳以下の子供マグロ」食べまくる日本人のヤバさ 大西洋では30キロ未満の漁獲が原則禁止の背景

東洋経済オンライン / 2024年8月24日 12時0分

また、国際的には水産資源は国民共有の財産(EU、ノルウェー、オーストラリアなど)となっている、もしくは行政が国民の負託を受けて管理する(アメリカ)のが主流です。一方、わが国では「無主物」となっているため、水産物の位置づけが異なっています。漁獲枠の配分においては、資源の持続性とその価値を最大限にしていくべきです。

科学的根拠に基づく漁獲枠の設定と、それを厳格に守ることで資源はようやく回復してきています。しかしマスメディアの番組でそうした例を見ることはほぼありません。このため、魚に関する資源の持続性やサステナビリティへの意識が欧米などに比べてとても希薄になってしまうと考えられます。

その結果が大半の魚種が激減してしまっている日本の現状なのです。太平洋クロマグロに関しては、皮肉なことに外圧で資源が回復している例外です。

マグロを成熟前に獲りまくる日本

上の表は、太平洋クロマグロの年齢別漁獲尾数割合です。恐るべきことに漁獲尾数では、実に未成魚(2歳魚・16キロ以下)の比率が実に93.9%以上になります。

漁獲枠の分類は30キロを境に大型魚と小型魚になっていますが、小型魚の大半は30キロ未満どころか5キロにも満たない0~1歳魚が尾数ベースで86%(2011年~2020年の平均)もあります。

50%成熟する4歳(約58キロ)以上は3%程度しかありません。大西洋クロマグロで、30キロ未満の漁獲を原則禁止とし、200~300キロの大型(10歳以上)が普通に漁獲される大西洋とは状況が大きく違います。資源管理の違いにより、泳いでいる魚のサイズ構成が異なってしまっているのです。

かつて、世界における日本のサンマの漁獲量シェアは、8割前後もありました。今では台湾・中国に漁獲量が追い抜かれ、シェアは2割程度に落ちてしまっています。こうなってしまうと、他国との協調が不可欠になりますが、国益が絡む内容なので、なかなか効果がある資源管理ができていません。

一方で、わが国は太平洋クロマグロで、漁獲枠の大半を占めることから資源管理のイニシアチブが取れる立場にあります。小型クロマグロの漁獲枠を増やしてほしいと言うのではなく、漁獲量を抑えて、将来のために大型のクロマグロを増やしていくと言うべき立場なのです。

WCPFCの資料によると、太平洋クロマグロ漁業で、日本の漁獲枠のシェアは全体の75%、小型については86%となっています。他の漁業国からすれば、資源の持続性、成長乱獲を防ぐために日本に小型マグロの漁獲をしてほしくないわけです。

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