トヨタ「アルファード」競合不在の発売1年通信簿 今にガソリンエンジン車グレードが売れる意味
東洋経済オンライン / 2024年8月25日 8時0分
高級ミニバン市場で一強の存在となったアルファード/ヴェルファイアは、2023年6月にフルモデルチェンジし、1年が経過した。
新型アルファードは、乗る人すべてが「快適な移動の幸せ」を極めることを目指し、開発された。不快に感じる振動や騒音を徹底的に低減し、高級セダンに匹敵する快適性をつくりこんだ。
試乗をすると、洗練さがより伝わってきた。
振動や騒音を高級セダン並みに低減することは、ミニバンでは容易でない。アルファード/ヴェルファイアは、車高が2m近くある。クルマの動きに影響する重心が、背の低いセダンに比べて高くなりがちだ。それを安定させ走らせるには、サスペンションをより強化するのが一般的である。だが、強化されたサスペンションは路面の凹凸に影響されやすく、その様子を乗員に伝えやすい。快適な乗り心地を満たすには、熟成されたサスペンションでなければならない。
静粛性についても、セダンは客室と荷室が別空間となるため、後輪からの騒音が客室に届きにくい車体構造だ。一方のミニバンは、客室と荷室が同じ空間にあるため、後輪からの騒音が直接客室へ伝わる。静粛性を高めるには、吸音材の採用など相応の防音機能が必要になる。
そのうえで、ヴェルファイアを存続させるため、操縦性をより高める剛性の確保や、専用のガソリンターボエンジンを選択肢に加えるなど、独自の魅力をもたせている。
販売台数や人気グレードは?
モデルチェンジから1年が経過し、今年7月時点でのアルファードの販売台数は、自販連の統計で8234台/月である。ヴェルファイアは3137台で、アルファードの4割弱といった数字だ。とはいえ、ちょうど1年前のモデルチェンジ直前となる6月の販売実績で、アルファードは826台と、なんとか47位にとどまったのに対し、ヴェルファイアは50位割れとなっていた。その結果を見れば、存続させた成果は残せているのではないか。
アルファードも、モデルチェンジ前となる昨年1~6月の2万4560台に対して、1.5倍以上を今年前半で売り上げ、新車効果を裏付ける。
販売の内訳は、アルファードはガソリンエンジン車のZグレードが約半数を占める。次いでハイブリッド車(HV)のZグレードが4割、より上級のエグゼクティブラウンジが1割という比率だ(トヨタ広報部)。高額車種では872万円にもなる(HVのE-Four=4輪駆動)アルファードではあるが、人気の売れ筋は540万円からとなるガソリンエンジン車であることがわかる。
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