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インフレを甘く見ている人は10年後に悲劇を見る 「日経平均10万円」が将来は通過点となる根拠

東洋経済オンライン / 2024年8月26日 12時0分

資産運用で大切なのは資産の一部をインフレヘッジ機能のある資産に振り向けることです(写真:Mr.Ekachai Lohacamonchai/PIXTA)

不安定な値動きを続けている日本の株価だが、世界的ファンドマネジャーの河北博光氏は、2030年代半ばに「日経平均は10万円」を超えるという。その根拠はどこにあるのか。

近著『世界標準の資産の増やし方』を刊行した同氏が、世界から再評価される日本株の現状と今後について解説する。

新NISAが始まって半年、年初からの急騰の後、堅調な世界株を尻目にやや弱含んでいた日本株は6月後半から急に上昇をはじめましたが、米ハイテク株の調整や円高の進行もあり、上昇分をすべて打ち消すような下落となっています。新NISAをきっかけに投資を始めた人たちは、相場の難しさを痛感しているところかもしれません。

インフレ率別に見た100万円の20年後の価値

「日経平均10万円」は通過点

そんな中で「日経平均10万円」というと、なんと能天気な人だと思われるかもしれませんが、日経平均10万円というのは強気な相場見通しを語っているわけではありません。日本株を取り巻く環境が正常化してきたとすると、株式という資産の特性上、企業価値の拡大とともに株価も上昇し、10万円というのは将来、当然の通過点となるにすぎないと考えられます。

多くの日本人がバブル崩壊後の30年間で忘れていたのは、正常な経済環境下では企業価値の拡大とともに株価は長期的には上昇するという当然の経済原則です。30年以上にわたり株価の低迷が続き、株は上がらないもの、損するもの、株式は投資ではなく投機、と考えていた日本人はその発想を大きく転換する必要に迫られているのです。

振り返ってみるとこの30年超、日本は異常な経済状況にありました。最初の10年は、バブル崩壊と金融機関の不良債権処理に追われました。バブル経済の中で膨らみに膨らんだ日本経済は3つの過剰(雇用・設備・債務)を抱えスケールダウンさせることが求められたわけです。

その後も、日本企業は戦後の高成長で蓄えた体力があったことや終身雇用制度などにより、構造改革が遅れ、結果として長期停滞を招くことになりました。海外から見るとこのような長期の低迷を続けながら経済大国としての地位を保ってきたこと自体が驚きだったのですが、日本人は、それまでに蓄えた富と、倹約精神によって長らく長期低迷に耐えてきたのです。

ただ、コロナ禍を契機とした物価の上昇、円安の進行で日本の凋落が誰の目にも明らかとなり、また生産年齢人口の減少によるサービス価格の上昇がいたるところで顕在化してきたことで、逆説的ではありますがやっと日本が普通の経済状態の国となってきました。

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