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インフレを甘く見ている人は10年後に悲劇を見る 「日経平均10万円」が将来は通過点となる根拠

東洋経済オンライン / 2024年8月26日 12時0分

人口減少によって国内需要が長期的に低迷すると懸念されることも多いのですが、人口減少以上に生産年齢人口が減少するため、労働者一人当たりの国内需要は増加傾向になるでしょう。その結果、中長期的にもサービス価格は上昇すると予想されます。そのため、今はまだ物価の上昇に賃金の上昇が追い付いていないなどと言われていますが、世界的に見て安すぎる賃金は遅かれ早かれ修正されるのではないでしょうか。

緩やかなインフレと、金利の上昇が起こると企業活動も正常化し、企業価値の拡大に伴って株価も上昇していくと私は考えます。この結果として世界平均並みの株価の上昇が実現できれば、日経平均は2030年代半ばには10万円を超えることになります。

明治以降3度目の大上昇期

さて、日本は近代国家になって以降、2度世界を驚かせる成長を遂げました。1回目は明治維新から第1次世界大戦までの成長、2回目は戦後復興から平成バブルまでの成長です。今はまったくその兆候も見えないのですが、日本が明治維新や戦後復興の時と同じような経済成長を遂げる可能性はあるのでしょうか。これはひとえに日本がこれまでの仕組みを捨てグローバルな仕組みに合わせることができるかということに尽きると私は考えています。

明治時代は、アジアの国で唯一、国際法を取り入れ西洋化を進めました。戦後はGHQの下、アメリカ流の制度に作り替えたわけです。これらの改革はもちろん良い面と悪い面がありましたが、国際競争力という点では大いに効果があり、アジアで唯一西洋と渡り合える大国となることにつながったのは周知のとおりです。

今の日本はこの時ほどドラスティックではありませんが、経済での敗北は誰の目にも明らかとなり、経営者の世代交代も進んできていることで変化の兆しが出てきています。株式市場においてもコーポレートガバナンス改革、持ち合い解消、東証の市場改革と日本の特殊性を解消し欧米化する動きが続いています。

国際社会における立ち位置の変化も顕著です。私は今の日本は1890年代や1950年代に似ていると考えています。共通点はアジアにおいて世界の覇権国の権益に脅威が生じていることです。明治維新では、ロシアの南下政策への対抗が必要となった英国が、日本の近代化を進めました。

戦後はアジアにおける共産主義の拡大を恐れたアメリカが、敵国であった日本の立ち位置を再定義しました。これが日本の驚異的な経済成長を後押ししたわけです。今回は中国の台頭に対抗する必要が生じたアメリカが、日本を後押しすることになりそうです。

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