1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

顧客満足度1位のホテルが実施している研修の中身 緻密なマニュアルはなく、スタッフの8割がアルバイト

東洋経済オンライン / 2024年8月26日 17時0分

たとえば、時計を頻繁にチラチラ見ている人を見たときに、「きっと、この方は短気な性格で、イライラしがちな人なのだ」と解釈するケースと、「ひょっとしたら、この方は何か次の予定があって、それに遅れそうで急いでいるのかもしれない」と解釈するケースもあります。

フロント業務でのシーンを例にすると、チェックイン手続きの際にそのお客様が時計をチラチラ見ていたとすると、「短気でイライラしやすい人」と判断するか、「何か予定に遅れそうで急いでいるのか」と推測するかということです。相手の性格など内面に起因する行動だと考えるのか、その人のおかれている状況(その人を取り巻く環境)に何か原因があると考えるのかの違いです。

心理学的には対応バイアスといい、他者の行動が、内的属性に基づいて生じたものだと評価する傾向のことをいいます。時計をチラチラ見る様子を見て、「イライラしやすい短気な性格の人」と判断するのは対応バイアスです。

相手の行動を見て、それが内的属性(性格など)に起因するとしたならば、対応の幅は狭くなります。「性格なのだから仕方ない」となってしまいます。

たとえば、「時計をチラチラ見ている、イライラしている、短気な性格、できるだけ急いで手続きをすませよう」となり、チェックイン手続きの中で支障のない部分を省略して、チェックイン手続きをできるだけ早くすませるようにするのです。

自分が短気な性格でイライラしていたら、チェックイン手続きは早くすませてほしいと思うだろうなという主観的な状況判断と、それに伴う行動ということになります。

しかし優秀者の多くは、そうした視点を持っていませんでした。相手の行動の原因を内的属性ではなく、その人がおかれた環境に見出そうとします。「何か、急いでいるのだろうか」と。

そう考えられると「チェックインの後、何かご予定がおありですか?」と尋ね、「ある」といわれれば手続きを急ぎ、「ない」ということなら、相手をリラックスさせられるような会話を心がけながら粛々と手続きを進めるといった、臨機応変な対応が可能になります。

入店の瞬間にお客様を観察する

お客様を観察したときに、その見える部分(イライラしてそうとか、時計を何度も見るとか)の情報から、何をどう解釈するかは人によって異なります。

さらには、もうひとつスタッフによってポイントが異なるのが、「どこに注目して観察しているか」という点です。

イライラしてそうとか、時計を何度も見るというのは、そのお客様の全体的な観察によって見つけられますが、もっと細かい情報を得るためには、さらに細部を見る必要があります。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください