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開業1周年「宇都宮ライトレール」の未来と課題 利用者多く延伸にらむが、足りないインフラも

東洋経済オンライン / 2024年8月26日 7時30分

「停留場の清掃については、当社宇都宮ライトレールが担っており、巡回での軽清掃に加え、外注による清掃を、定期的に行います」

他交通との連携はどうなっているか

ラッシュ時間帯は、宇都宮駅から芳賀・高根沢工業団地へと向かう通勤や、通学の利用が多く、昼間の時間帯は、宇都宮市街地へ買い物に出かける利用も多い。宇都宮駅周辺と平石停留場の輸送は、市内を回遊する観光客にも好評で、一日乗車券(大人1000円)を使用して、乗り降りを楽しむ人の姿も、よく目にする。

では、この宇都宮芳賀ライトレール線の目的の1つである、他交通との連携はどのように行っているのだろうか。まずは、芳賀町付近の交通事情を、軌道整備事業者である芳賀町企画課みらい創生係の担当者に聞いてみた。芳賀・高根沢工業団地からの交通について、街と協議をしてコミュニティバスやデマンド交通の予定はあるかという点には以下のような回答があった。

「芳賀・高根沢工業団地からの交通については、現在宇都宮ライトレールとの協議により、コミュニティバスやデマンド交通の導入を検討しているものはないが、LRT開業に伴うバス路線の再編を実施した際、『芳賀工業団地循環線』という循環バス路線を新設し、ジェイアールバス関東に運行いただいています」

現行の芳賀町のデマンドタクシー(ふれあいタクシー「ひばり」)については、町内全域を運行エリアとし、工業団地周辺からの利用も可能で、地域全体をカバーしている。しかし、芳賀・高根沢工業団地のトランジットセンターは、宇都宮芳賀ライトレール線の停留場と、片側2車線の大通りの交差点を挟んだ向かい側にあり、雨の日や高齢者の移動などを考えると、あまり便利な場所とはいえない。今後は、これら2つをつなぐ案内や、人道の確保が必要になってくると考えられる。少し大掛かりになるが、地下通路の新設なども検討の余地があるかもしれない。

また、ジェイアールバス関東の作新学院高校・JR宇都宮駅と茂木町を結び、途中、芳賀・高根沢工業団地のトランジットセンターを経由し、真岡鐵道の市塙(いちはな)駅を結ぶ路線に関しても、一部区間をコミュニティバス化することによって、地域住民の交通に対する意識が向上され、よりよい交通体系ができることを、期待したいところである。

マイ・レールという位置付けが、周辺の交通環境を活性化させ、地域全体の経済効果を生むことは、宇都宮芳賀ライトレール線の宇都宮市側で、すでに実証済みだ。今後は芳賀町側でも、よい相乗効果が出ることを期待したい。

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