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じわじわ話題「異色グルメドラマ」が心揺さぶる訳 仲村トオル主演の「飯を喰らひて華と告ぐ」

東洋経済オンライン / 2024年8月27日 15時0分

店主は勘違いをしながらも、内面に秘める感情を見抜いて心のうちを理解し、彼らに寄り添っているのだ。

変わらない日々の繰り返しを生きてきた万引きGメンは、店主のちょっとした気遣いで非日常を味わい、毎日が明るくなった。クセが強い予備校カリスマ講師は、生きる道を誤らずにすみ、姿勢を正すきっかけを得た。また、食い逃げ犯には、その罪は許し、悔い改めさせている。

店を出るときの客たち全員の表情は和らぎ、足取りは軽くなっているのだ。

主演・仲村トオルの怪演

本作は、おいしい料理と店主の強烈なキャラクターが、客それぞれの日常生活における心の機微に触れる。そこで生まれる、勘違いとすれ違いのやりとりの滑稽さが、視聴者を笑わせつつ心を温かくする新たなスタイルのグルメドラマだ。

根底には都会に生きる市井の人々それぞれの人間ドラマがあるからこそ、誰もが共感し、感情移入できる。エンターテインメント性の高い、この夏の隠れた名作ドラマであり、その妙味に気づいた人たちの口コミが広がっている。

本作のおもしろさの最大の要因は、店主役の主演・仲村トオルの怪演に尽きる。言葉を発しなくても、有無を言わせぬ圧を放つキャラクター像を体現できるのは、彼の圧倒的な存在感があってこそ。店主の目力と気迫のこもった顔の圧に、客の誰もが圧倒される。

大真面目な店主のどこかとぼけた、愛らしい間抜けな姿は、ドラマ初出演作『あぶない刑事』町田透刑事役からの系譜となる、俳優・仲村トオルの芝居の真骨頂でもあると感じる。

これまでに多くの役を演じ、近年はシリアス系の作品で重厚な芝居を見せることが多かった彼にとっても、俳優人生におけるひとつのハマり役であり、新たな名物キャラクターになったことは間違いないだろう。

店主の“クセ強”に磨きがかかる後半

物語のなかで、ソロキャンプの玄人を装ったプロ傭兵と店主の対峙がある第8話では、初めて料理屋以外が舞台になった回であり、物語のひとつのポイントになっている。

回を重ねるごとに店主の“クセ強”に磨きがかかり、味が濃くなってきたが、ここから新たな章に入ることを感じる。

放送を重ねながらドラマファンの間でじわじわと話題が広がり、SNSでは毎話の“勘違いオチ”に注目が集まるなか、ドラマはいよいよ後半に入り、最終話が気になるという声が増えている。

これまでは濃すぎる店主のキャラクターが、まばゆいばかりに光り輝いて客を圧倒してきたが、最終話の客は柄本時生が演じる。2人の火花散らす芝居のぶつかりあいは必至。ドラマ史に残る名シーン(迷シーン?)になるかもしれない。人生と笑顔をテーマにするポジティブ飯ドラマのラストが、いまから気になってしかたがない。

武井 保之:ライター

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