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株主還元の新定番「DOE」掲げる会社なぜ増えた? 会社四季報を「総ざらい」して見えたキーワード

東洋経済オンライン / 2024年8月28日 9時0分

会社四季報の誌面にも「DOE」についての表記が増えている

株主還元を強化する企業の決算資料などに、「DOE(自己資本配当率、配当総額÷自己資本×100%)」というキーワードが登場する機会が増えている。それは何を意味するのか。週刊東洋経済「インフレ時代に勝てる株」特集を担当した山本直樹記者と、経済コラムニストでYouTuberの高井宏章氏の対談から一部をお送りする。

※記事の内容は東洋経済の解説動画「会社四季報『夏号』総復習!インフレ時代に必要な投資の発想転換」から一部を抜粋したものです。外部配信先では動画を視聴できない場合があるため、東洋経済オンライン内、または東洋経済オンラインのYouTubeでご覧ください。

高井宏章(以下、高井):今回、特集の中で取り上げられていたキーワードで面白いと思ったのが「DOE」です。今までの四季報ではあまり登場してこなかったんじゃないですかね?

【動画を見る】会社四季報「夏号」総復習!インフレ時代に必要な投資の発想転換

山本直樹(以下、山本):はい、最近になってすごく増えてきました。

高井:DOEは要するに、ROE(自己資本利益率)の分母に当たる部分(自己資本)で配当総額を割った数字(×100%)ですね。配当についての目標や指標としては、今までは配当性向(配当総額÷純利益)を用いる会社が多かったかと思います。

配当性向は、今期いくら儲かったかが重要になる”フロー”の数字なのに対し、DOEは”ストック”で、あなたたちの会社は資本コストに対してどれだけ株主還元するの?と問う数字です。

四季報に多く登場するようになったということは、目標として掲げる企業が増えたということですね?

山本:そうです。発表ベースのものだけ集めてみても、株主還元を強化しますという表明の中で、もちろん配当性向を引き上げますというものもあるのですが、DOEを基準に設ける会社は非常に増えています。

配当性向を基準にしていると、業績が悪化して赤字になってしまった場合、下手すると無配になる場合もありますが、DOEを掲げている限り、基本的には無配になることがありません。

(※外部配信先では図表などの画像を閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

「安定配当」へのイメージが変わってきた

高井:安定配当に近づくということですね。「安定配当」って、今まではどちらかというと、ちょっとイメージが悪かったりしましたよね。儲かってもそうでなくても、一定額を出しますよ、その代わり配当利回りが低いかもしれませんよ、という印象を与える場合がある。

ただ今は、ちゃんと資本規模ベースで安定配当しますよという仕様としてDOEが新たに重視されていると。これってやはり、投資家からのプレッシャーがそれだけ強いということでしょうか。

山本:まさにそういうことだと思います。

高井:(四季報におけるDOEについての表記は)いつくらいから目立つようになりましたか?

山本:ちらちら出始めたのが3年ほど前、ここまで増えたのは前号(2024年3月発売)、今号(同6月発売)くらいからだと思います。

高井:なるほど、面白いですね。キーワードとしてはほかにも、「TSMC/ラピダス」「防衛」「金利上昇」などについて取り上げられています。これを眺めているだけでもトレンドがわかって、ビールを何杯かおいしく飲めるな、と感じました(笑)。

山本 直樹:東洋経済 記者

高井 宏章:経済コラムニスト / YouTuber

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