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西島秀俊の「ハリウッドデビュー作」がすごかった 配信元の「Apple TV+」の認知度は低いけれど良作

東洋経済オンライン / 2024年8月28日 11時30分

西島秀俊のほかに出演する「豪華俳優陣」

原作は、日本在住のアイルランド人作家コリン・オサリバンによる小説『ダーク・マニュアル』とあって、へんなことにはならないと思われる。いや、日本の低予算、短時間でつくったドラマではないから、原作なしのオリジナルであってもヘタは打たないと思うのだが(日本のオリジナルに不信感が募る昨今です)。

製作しているのは、世界的に注目されている製作・配給スタジオ「A24」。“やばい”と日本でも話題になった『ミッドサマー』(2019年)が記憶に新しいが、第89回アカデミー賞作品賞に輝いた『ムーンライト』(2016年)や、同ノミネートの『レディ・バード』(2017年)など攻めた作品を手掛けている。

『ミッドサマー』を思うと、舞台は近未来の京都で、主題歌は昭和歌謡、主人公は夫の謎を追う日本語の話せないアメリカ人(製作総指揮も兼務するラシダ・ジョーンズ)と『サニー』が一風変わっていることにも説得力がある。単に間違った日本――しかも京都を描いた海外市場を狙った作品ではなさそうだ。

西島のほかに、ジュディ・オング、YOU、國村隼など、日本人でも注目せざるをえない名優たちが重要な役で出演しているのだ。今年3月、惜しまれつつなくなった寺田農も印象的な役で出演していて、追悼メッセージもクレジットされている。

ジュディ・オングはマサの母親ノリコ役。京都の古く裕福な家に生まれた人物で、はんなり京都ことばを話す。異国人の嫁にはちょっと厳しい目を向けるイケズさも。國村はロボット工学者タナカユウキ。知性的だがどこか食えないところのあるくせ者。YOUは京都のやくざの組長(寺田)の娘ヒメで、父の跡を継ぐつもりだが、周囲には敵もいて……といういわゆるやくざ映画の抗争的な環境に身を置いている。

國村は『ブラック・レイン』、YOUは『誰も知らない』など海外でも馴染みのある俳優であろう。西島は『ドライブ・マイ・カー』がある。日本でも知らない人のいない有名俳優であり、海外でも知られた日本人俳優とは最強である。

感心するのは、西島と國村とジュディ・オングは英語セリフを流暢に語っていることである。やっぱり、ハリウッド大手と契約するだけあって英語でセリフを話すのは当然の前提なのかもしれない。

日本語と英語(日本語字幕)バージョンがあるので、好みのほうを選択できるのでご安心を。だが、國村の英語が吹き替えかと一瞬思うほどイケボなナレーションもあって、英語バージョンもおすすめである。

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