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米民主党大会で感じた「日本の総裁選」との決定差 アメリカで求められ、日本で求められないもの

東洋経済オンライン / 2024年8月28日 8時40分

さらなるプレッシャーもあった。ハリス氏の登壇の前に、演説の達人たちが連日、これまで見たこともない盛り上げに一役買った。

大会2日目には、バラク・オバマ元大統領とミシェル元ファーストレディが登壇。タイプは異なるが、人々に希望を持たせる演説で定評あるカップルだ。

「アメリカのホープ(hope=希望)は、カムバックする」

と、ミシェル・オバマが冒頭に宣言した。2008年大統領選挙で、バラク・オバマ候補(当時)が、選挙戦の標語にした「ホープ」という言葉に会場の2万人が歓声を上げる。ミシェル氏は、人々を興奮させただけでなく、「行動せよ(Do something)!」というキーワードも投げかけた。

「不正に対して文句を言うな、何か行動せよ」

というフレーズは、ハリス氏の母親でインドから移住した故シャーマラ・ハリス氏の言葉として有名だ。カマラとサラの姉妹をシングルマザーとして育て、なおも不正や差別と戦う運動に参加する強い女性だった。ミシェル氏は彼女の言葉を引用し、会場から「行動せよ!行動せよ!」というコールを引き出した。

オバマ大統領もあの決めぜりふを

直後にステージに立ったオバマ元大統領は、こう言った。

「カマラは、自分自身の問題には気を留めない。あなた方の問題に集中するだろう」
「将来へのビジョンのために投票しよう。イエス・シー・キャン!」

同じく2008年の標語だった「イエス・ウィ・キャン」を、ハリス氏に当てはめ、長年の支援者を興奮させる。

さらに、独裁的で分断的な共和党大統領指名候補のトランプ前大統領の姿勢に対してこう加えた。「民主主義というのは、お互いを気遣う、お互いの生を重んじ、相互に尊敬するもので、それが私たちのメッセージであるべきだ」。

ニュース専門局MSNBCに出演した公民権運動家で黒人のアル・シャープトン氏は、こうコメントした。「オバマは、ホープにまた火をつけた。ホープが再び、この国を1つにする」。

3日目はビル・クリントン元大統領で、彼の表情から出てくる「チャーミングさ」は、演説の好感度をさらに増幅させる。クリントン氏は、トランプ氏は「分断をあおる」「責任をなすりつける」「他人を卑下する」人物だと指摘。

「トランプはme,me,meだ。カマラが君たちの大統領になったら、毎日がyou,you,youで始まる」

ステージに上がるだけで人々が総立ちになる演説のスターたちが、計算し尽くされた語り口で、人々を十分に興奮させた。それぞれが有権者とつながり合うコミュニケーション力を発揮した。その締めがハリス氏。絶対に、彼女が人々が望んでいた大統領候補であると人々を安心させ、奮い立たせなければならない。

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