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クルマ界の"カルトイベント"が公式化の意味 ディープなVolkswagenファンを訪ねてドイツへ

東洋経済オンライン / 2024年8月29日 12時0分

「私たちのこれからについても理解を深めていただける点が、ファン主催からメーカー主催へと変わった、最大の特徴ではないでしょうか」。ザンダース氏はそう付け加えた。

とはいっても、GTIファンフェストの主役は来場者自身。駐車場を歴代ゴルフGTIとフォルクスワーゲンのスポーツモデルが埋め尽くした光景は、圧巻だ。

イギリスやベラルーシから自走でくるファンも

来場者に話を聞くと、ドイツからが圧倒的に多かったが、イギリス(次に多かった)、スウェーデン、スペイン、さらにベラルーシから自走で参加したファンもいた。共通していたのは、「長い間、乗っている」という、ドライバーとクルマとの歴史の長さ。

前回までGTIトレッフェン(ミーティングの意)と呼ばれたファンミーティングは、オーストリアの保養地、ベルターゼーで開催されていた。そこに人が集まりすぎて近隣から苦情が出るようになっていたと、聞いたことがある。

「なにが楽しいって、同好の士による情報交換です」。GTIトレッフェンの時代から参加しているドイツ人のGTIオーナーは、イベントに参加する理由を教えてくれた。

おもしろいのは、オリジナルの状態を保っていたGTIはごく限られていて、だいたい少しずつ手が入っていたこと。そこが日本と違う。モータースポーツ用にバリバリに改造したモデルも少なくないし、中にはピックアップボディや6ドアのリムジンに改造したクルマもあった。

「おもしろいイベントで、私は大好きですよ」。フォルクスワーゲン乗用車部門のヘッドオブデザインを務めているアンドレアス・ミント氏は、今年の会場でそう感想を述べていた。

「デザイナーとして興味を引かれるのは、改造ゴルフです。クリエイティブじゃないですか。私は会場を観て回るのが大好きですよ」。先述のID.GTIを準備しているミント氏は語る。

「公式」として続くことを願う

2025年も同様のイベントを同じ場所で開催するのだろうか。そのことを前出のザンダース氏に確認すると、「まだ決まっていない」との返事だった。

「評判を聞いて、収支をチェックして、内容的に次も同じようにやる価値があるか、これから考えていきます」と言う。メーカーとしては正しい見解であるが、イベントがマーケティングのツールになってしまっては、長年のファンが落胆するだろう。

少なくとも2024年は、メーカーの宣伝色が強かったとはいえ「初めて見るクルマが多い」(参加者)と評判も悪くなく、成功だったのではないかと私は感じた。

ただ、来年も同じクルマが並ぶようでは芸がなく、メーカーとしての展示に工夫が必要になってくる。何よりも、ファンが楽しめる場でなければならない。大変だろうけれど、ひとりのGTIファンとして、期待して待っていたい。

【写真】改造車も多数!GTIファンフェストのディープな世界(97枚)

小川 フミオ:モータージャーナリスト

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