｢人生100年時代｣に若者が最優先で学ぶべきは AIを使いこなすにも必須のヒューマンスキル

テクノロジーは人間の仕事を奪うのではないかと聞かれることもありますが、その答えはNOです。テクノロジーは私たち人間の味方です。敵ではありません。ただし、私たちはテクノロジーを使いこなすほうの人間になる必要があります。

では、テクノロジーを使いこなす人間になるためにはどうすればいいでしょうか。それは、長い人生において学生時代と同じように学び続けることです。一生学び続けるのです。そのときの学びは今よりさらにエキサイティングなものになるでしょう。なぜなら、自分の仕事をよりうまくこなせるようになるための学び、つまりスキルアップにつながる学びだからです。

また、長い人生におけるリスキリング、つまり新たな仕事のやり方を覚えるための勉強は、今後非常に重要になるでしょう。なぜかというと新しい仕事がどんどん登場するからです。

みなさんは、「将来どんな仕事をしよう？」と考えていると思います。しかし、みなさんが仕事をする年代になったころ、世界にどんな仕事が存在しているかはわかりません。今はまだ生まれていない仕事が、増えているかもしれません。完全な予想はできませんが、ある程度の傾向は想像することができます。

まず1つ目に、どんな仕事においてもデータが関係するようになるでしょう。もし、いまデータの使い方やデータ分析に関心がないなら少なくとも理解したほうがよいです。現在、私も研究の仕事ではビッグデータを利用しています。

2つ目。まったく新しい産業が生まれてくることでしょう。昔は石油やガス関連の会社で働く人が多くいましたが、現在はグリーン産業が多く誕生しています。まだ登場すらしていない産業が今後たくさん生まれてくるはずです。そのつもりで、データについて学ぶことや、グリーン産業やエネルギーについて学ぶことは優れた仕事をするための基礎になります。

そして、どのような仕事であっても、重要なのはヒューマンスキルになります。私はこれまで、「人間がテクノロジーを使うときに、どんな要素が必要になるか」を長年研究してきました。決定的に重要なヒューマンスキルは、社会的スキルです。

誰かと一緒に仕事をするためには、共感する能力や他人に教える能力、積極的に学ぶ能力が重要です。まだ16歳だったとしても、どうすれば他の人とうまくやっていけるか、どうすれば協力し合えるかを考えてみてください。社会的スキルは他者と協力するための基礎です。

また、生成AIが得意なのは、過去の情報をまとめることです。未来のことは生成AIは発言することができません。だからこそ、人間は先のことを考える必要があります。未来を語れる人間になるためには、積極的な学習者になり、世界全体に目を向ける必要があります。私の場合、世界中を旅行してそのたびに新しいことを学びました。皆さんもぜひ、世界を旅してください。

生涯学び続けたいと思う素地づくりを