都心で「広い部屋」入手する!裏ワザ"間取り革命" まずは「頭の体操」が大事!「捨てていいもの」は?
東洋経済オンライン / 2024年8月29日 11時0分
住宅購入は人生で一番大きな買い物。それは令和の現在も変わらない。しかし東京23区では新築マンションの平均価格が1億円を超えるなど、一部のエリアでは不動産価格の高騰が止まらない。
【ひと目でわかる】都心で「広い部屋」を入手する!裏ワザ"間取り革命"で、まずは捨てるべき「古い常識」あなたは大丈夫?
不動産市場の変遷や過去のバブル、政府や日銀の動向、外国人による売買などを踏まえ、「これからの住宅購入の常識は、これまでとはまったく違うものになる」というのが、新聞記者として長年不動産市場を研究・分析してきた筆者の考え方だ。
新刊『2030年不動産の未来と最高の選び方・買い方を全部1冊にまとめてみた』では、「マイホームはもはや一生ものではない」「広いリビングルームや子ども部屋はいらない」「親世代がすすめるエリアを買ってはいけない」など、新しい不動産売買の視点を紹介。変化の激しい時代に「損をしない家の買い方」をあらゆる角度から考察する。
今回は、「間取りの常識を疑うことで、マイホームを安く手に入れる」という戦略を紹介する。
「1億円超でも狭い」都心マンション事情
2023年に発売された東京23区の新築マンションの1戸あたりの平均価格は1億1483万円、広さは単純計算で、平均66.5㎡だ。
66.5㎡なら、2LDKか狭めの3LDKだろう。
たとえば両親と子ども2人の4人家族では、狭く感じるかもしれない。
それでも、「億ション」である。
都心で購入可能なマンションを探せば、マイホームは狭くなる一方だ。
「ご家族のことを考えるなら、やはりゆとりが大切ですよ」などと広い物件をすすめられ、予算が3割以上オーバーしたなんていう話もよく聞く。
とはいえ、広さと予算を優先すれば、マイホームの候補地は23区どころか習志野市(千葉県)、海老名市(神奈川)、春日部市(埼玉)より以遠となるだろう。
このような状況において、「資産価値の高い都心のマンションを手に入れ、なおかつ快適に暮らす」という自己防衛はできないのだろうか?
さて、日本の分譲マンションはほとんどが「既製品」であり、「間取り」が決まっている。
海外のような内装や細かい間取りも含めたスケルトン住宅は皆無に近い。リセールバリューも、標準的な間取りが最も価値が高いとされる。
これでは永遠に日本の従順な消費者の「間取りへの問題意識」は育たない。
アコーディオン式ドアなどで簡易的に間取りを変える程度で終わってしまう。
しかし、「間取りの常識」は、時代とともに変化するものだ。
歴史を振り返れば、昔の戸建て住宅によくあった「応接間」は、交友関係の希薄化などからリストラされ、ほぼ絶滅している。
現在はリビングルームとキッチンを広くとる間取りが主流だが、それが古くなる時代が、もうそこまできているかもしれない。
頭の体操で「何がリストラできるか」を考える
1億円超マンションではなく、都心に近く手の届く5000万〜7000万円マンションで快適に暮らすには、住環境をコンパクトにする「間取り革命」が不可欠だ。
自分に合った無駄のない間取りであれば、多少狭くても快適に暮らせるはずだ。
まずは、「マンションの広さは60㎡で十分」「そのために間取り革命を実践する」と考えてみよう。
住宅に必要なスペースは、人それぞれ違う。
これまで「あって当たり前」「重視するのが当たり前」
おりしも、伝統的な家庭の機能は何でもサブスクやアウトソーシングの時代に入っている。
たとえば食事はミールキットやケータリング、テイクアウトや総菜や弁当などに頼れば、大きくて立派な多機能キッチンは必要ない。台湾などは3食外食でキッチンのない家もある。
家が服や靴などであふれて狭く感じるという人は、「所有しない」という視点をもとう。
たとえば衣服はユニセックスのものを夫婦間・親子間で活用する手段もある。あるいは、リバーシブルでテイストを変えるという手もある。飽きたらリサイクルショップやフリマアプリで売るという習慣も重要だ。
また、「エアークローゼット」などのサブスクサービスで、衣服をレンタルすることもできる。都市部ではクルマのシェア化が進んでいるので、ファッションもシェアやサブスクが主流になるかもしれない。
これまでの「家の機能」を外に出すという視点をもつだけで、不要なスペースがあることに気づくだろう。
ミニマリストを目指せば、時間やお金も節約できる
モノを減らし、無駄を省き、必要最低限(ミニマム)の所有物だけで生活するミニマリストを目指せば、狭い住宅で快適に暮らすことは十分可能だ。
家具や家電はできるだけ小さなものを好む。衣服などの持ち物の数も最小限に抑える。そうすれば、掃除の手間も省け、時間の使い方もうまくなる。
家具や食器、本棚などを減らすことは地震対策にもなるだろう。
部屋も片づいてすっきりし、無駄な買い物をする習慣もなくなる。
一石二鳥、いや三鳥を実現できるのがミニマリストだ。
もちろん、これらの戦略は同居する家族やパートナーの理解が大前提だ。
家族と話し合い「自分らしい間取り戦略」を練る
とはいえ、妻から「アイランドキッチンがあこがれ」「広い洗面所とメイクスペースがほしい」などと言われて、よくわからず困り果てる男性もいるだろう。
キッチン=女性の城という古い発想のままなら、これらは家における妻の領土拡大、夫の家庭内の領土縮小につながる。
ひと昔前ならそれでもよかったのかもしれないが、今は育児から洗濯・調理など、昔ながら家庭機能の外部化が進んでいる。
女性の社会進出によってその傾向はさらに強まっているのだから、「常識」を疑ってみれば、マイホームの空間を節約できる余地は大きい。
・〇人家族だから〇㎡以上必要だ
・リビングルームは広いほうがいい
・家族全員の個室が必要だ
・収納スペースは大きいほうがいい
・キッチンはとことんこだわったほうがいい
これらの常識が、自分たちのライフスタイルに本当にあてはまるのか、節約の余地はないか、よく考え、話し合ってみてほしい。
当たり前の間取りを疑うことで、広さと価格を優先して不便な場所にマイホームをもつリスクが減り、資産価値の高い都心(駅近)マンションを手に入れることが可能になるかもしれない。
山下 努:不動産ジャーナリスト
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