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「守る日本」と「攻める中国」ASEAN自動車最前線 中国メーカーが「東南アジア」を攻めるワケ

東洋経済オンライン / 2024年8月30日 9時30分

筆者は2024年7月にインドネシア・バンテン州の都市タンゲランを訪れ、「GIIAS2024(ガイキンド・インドネシア国際オートショー2024)」と呼ばれるモーターショーを視察したのだが、会場の様子はコロナ前とはすっかり様変わりしていた。中国ブランドの出展が、大幅に増えたのである。

中国ブランドとして最大のブース面積を誇るBYDをはじめ、GWM(グレート・ウォール・モーター=長城汽車)、AION、ウーリンなどの中国系ブランドの乗用車ブースは、11にものぼる。

総面積こそ日系ブランドにはかなわないものの、数でいえば日系ブランドの9ブース(トヨタとレクサスは別カウント)よりも多い。

インドネシアにおける日本車のシェアは、84.2%(2023年)。中国車のシェアはまだ高くないが、こうしてインドネシアのモーターショー会場を歩いていると“日本車の聖域”が、どんどん浸食されていることを実感する。

中国のメーカーは、インドネシアでも日本車を駆逐しようと鼻息が荒いのだ。では、どうして中国メーカーは、東南アジアの自動車マーケットを狙うのか。

ひとつは、北米やヨーロッパと違って、東南アジアには“地場の有力自動車メーカー”が存在しないからだろう。プロトン(マレーシア)やヴィンファスト(ベトナム)はあっても、ブランド力は高くない。

さらにいえば、先進国に比べて法規や安全性能などの面で車両を販売するハードルが低く、また中国や中国製品に対する嫌悪感が少ないことも影響している。それらはマーケット側としての理由だ。

中国側の事情としては、輸出を増やして生産規模を大きくしていきたいというのが大前提にある。そのうえで、昨今話題になっている供給過多の問題も外せない。

補助金などを受けて中国の自動車メーカーはEVをたくさん作り、またその生産を支えるために工場の設備も増強した。

しかし、ここへきて景気の変化などから中国国内での需要が落ち、過当競争が激化。値下げ競争に陥り経営を圧迫している。それを埋めるための販路を海外に求めているのである。

「成長確実」な市場がここに

インドネシアの人口は約2.7億(世界第4位)と多く、現時点でもASEAN最大の自動車市場だ。とはいえ、現在はまだ平均年収が国全体で40万円程度、大都市ジャカルタに限っても約70万円と言われており、クルマは気軽に持てるものではない。

しかし、経済成長に従い「クルマを買えるようになる人」は増えていく。つまり、マーケットが縮小しつつある日本とは違って、拡大するのが確実な場所であるわけだ。

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