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日本「五輪で覇者」のスケボー、街から排除の明暗 「危ない」と禁止せず、まちづくりに生かすには

東洋経済オンライン / 2024年8月31日 9時0分

民間の空き体育館を改装した「秩父スケートパーク」には、国際大会でも活躍する将来性ある選手が全国から滑りに来る(写真:筆者撮影)

パリオリンピックで、日本選手が金メダル2個、銀メダル2個を獲得し、大いに注目を集めたスケートボード。東京オリンピックに続いて、国・地域別のメダル数で首位となり、日本勢の強さを示した。こうした選手たちの活躍が目覚ましい一方、日本の街中のスケートボーダーは「危ない、うるさい」と白い目で見られがちで、都市部のほとんどで禁止されている。

【図表を見る】日本の公共スケートパークは、2021年の東京オリンピックを機に急増

では、街からスケートボードを排除しない「寛容な社会」を、どうすればつくれるのだろうか。スケートボードをまちづくりに役立てているフランスの事例や、施設を起点としてにぎわいをつくっている国内の事例から、そのヒントを探っていく。

スケートボード界で起こる「ジャパニーズウェーブ」

2021年の東京オリンピックでスケートボードが新種目として登場し、日本はメダルラッシュの快進撃を見せた。

これを機に急速に認知が進み、全国各地にスケートパークが次々とオープン。

今大会も4種目中3種目で世界ランクトップ10のおよそ半数を占めるなど、国際大会でも無類の強さを発揮しており、スケートボード界では世界から「ジャパニーズウェーブ」と呼ばれる現象まで起きている。

現代日本は寛容性が失われている?

だが国内でのスケートボードへの反応は世界のそれとは異なり、冷ややかな目を向けられることがある。読者の中にも「うるさい、危険、街を壊す」といった文脈で、「迷惑スケボー」を取り上げる記事を目にしたことがあるのではないだろうか。

実際に国内、とくに都市部はどこも禁止。SNSに上げようものなら炎上することもしばしば。中には許可を得て市街地でイベントを開催しているにもかかわらず、批判の声が上がることもある。

こうした動きには、公園におけるサッカーやキャッチボールの禁止など、子供の騒音・遊びへの不寛容と通ずる部分があるのではないかと思う。

時代の進化に伴い趣味やアクティビティが多様化した今、ある人からすれば大好きなものでも、ある人からすれば縁遠く特異なものに映ることも多い。そこに保守的な国民性や高齢化社会が合わされば「偏見」は生まれやすく、得体の知れないモノは「排除」の対象になりやすいだろう。

社会的認知から日が浅いスケートボードがよく思われないのは必然だったのかもしれない。いずれにせよ、利害関係が複雑に絡み合い、日本社会が全体として寛容性を失っているのでは、と感じるのは筆者だけだろうか。

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