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日本「五輪で覇者」のスケボー、街から排除の明暗 「危ない」と禁止せず、まちづくりに生かすには

東洋経済オンライン / 2024年8月31日 9時0分

中でも埼玉県秩父市にある「秩父スケートパーク」はオープンからわずか1年ほどにもかかわらず、国際大会で活躍する選手が全国から集まり、国際大会出場権をかけたコンテスト会場にも選ばれるなど、多くの注目が集まる施設となっている。

そもそもこの場所は地元の老舗旅館の所有施設で、大学や高校の合宿所として、バスケやバレーなど体育館で行うスポーツに活用されてきた。しかし利用者の減少に加えコロナ禍が重なったことで取り壊しも取り沙汰されるように。

そこで再利用方法として挙がったのがスケートパークだった。秩父市青年会議所や秩父法人会の協力もあり市内のさまざまな企業や団体が出資、大規模な改修工事を経て昨年春に完成した。

施設の目玉は高さ13フィート(約4m)のバーチカルと呼ばれるハーフパイプ状の巨大構造物。湾曲面が立ったキツめの角度は高難度で、まさに世界基準。

ストリートエリアもバーチカルの隣にある壁のセクション(障害物)から発射すれば、山を上から下まで一筆書きで下りるようにハイスピードで回ることができる。

選手目線でつねに構成を進化させているところも大きい。そうしたエネルギーやパッションが詰まっているのを、撮影を通して感じることができた。民間発の施設ではあるが、秩父市の方も連携を検討したいと語るほど影響は広まっている。

今後大切になるのは「シェアリング」

では、ボルドーの事例と秩父の事例の違いはどこにあるのだろう。それは「公共の場所」であるか「専用の場所」であるかだ。もちろんどちらがいいというわけではない。

ただ現在スポーツ施設は全国的に減少傾向にあり、環境確保のためには今後空間の「シェアリング」も必要になってくると言われている。

昨年度末には三重県四日市市で、歩行空間や広場などのオープンスペースを活用し、身体活動を促す社会実験が行われており、スケートパークをスケートボード以外にも使ってみようという試みも実施された。これは将来的にオープンスペースでのスケートボードとの共存の可能性を探るという意味でも、非常に興味深い。

また東京大学も三菱地所らと共に「ストリートカルチャーの導入による新たなまちづくり ー大丸有地区を事例にー」と題して、ストリートスケートと街の関係性に関する研究を行い、協力スケーターを募集している。

まだまだ時間はかかるだろうが、日本でも少しずつスモールスタートでイノベーションを起こそうとする動きが出始めてきた。これからの日本における「スケートボードと街の関係性」がどうなっていくのかを、しっかり見届けていきたい。

吉田 佳央:フリーランスフォトグラファー・スケートボードジャーナリスト

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