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"走るスマートフォン"が車業界に革命を起こす シャオミのEV「SU7」が示す未来のモビリティ

東洋経済オンライン / 2024年8月31日 8時0分

事実、筆者がシャオミストアを訪れたのは平日の夜だったが、店内にはスマートフォンや周辺機器を見に来た近所の家族づれが何組も来店し、帰りがてらにSU7の乗車体験を楽しんでいた。また話題のSU7を見に来た客が、前客の試乗が終わるのを待つ間にシャオミのスマートフォンを試用する姿も見られた。シャオミはSU7の展示・販売店舗を年内に220店舗まで増やす予定で、SU7の認知は今後さらに広がっていくだろう。

スマホメーカーが作る自動車のメリットとは

自動車とスマートフォンの連携では、アップルの「CarPlay」やグーグルの「Android Auto」などもよく使われている。しかし利用できるのはスマートフォンのアプリの一部、ナビゲーションやメディア関連などであり、自動車そのものの操作へのアクセスはできない。自動車にスマートフォンを接続しても、音声で「Hey Siri、エアコンの温度を23度に設定して」あるいは「OK Google、カメラの映像を大きく表示して」などの操作には対応していないのだ。

これに対してSU7はスマートフォンと同じHyperOSをシステムに採用することで、車内に乗り込めばスマートフォンの操作そのものを車内の大型ディスプレイから行うことができる。自動車車内のコントロールとスマートフォンの操作が1つの画面に融合されるのだ。しかもこのHyperOSはシャオミのスマート家電製品にも採用されている。そのためSU7の車内から自宅のエアコンの操作をすることも簡単に行えるのだ。スマートフォンメーカーが作るEVの最大のメリットは、自動車がスマートフォンやほかの製品とシームレスに接続できることなのである。

シャオミのエコシステムはこれまで人とモノをつなぐものだった。しかし、SU7の投入によりその世界は移動空間へ広がり、日常生活のほとんどのシナリオをカバーすることになる。シャオミは人々の生活をよりスマートに、快適にすることを目的として、システムの統合を進めている。

SU7の乗りごこちは体験できなかったものの、スマートフォンと統合された車内システムの完成度を見ると、スマートフォンメーカー側からの自動車へのアプローチは、時代に合った流と感じられた。そう考えると、アップルがEVの開発を断念したという話も「本当にそうなのか?」と思えてしまう。そもそもアップルのEV開発は公式な発表すらなかった。アップルにはCarPlayがあるが自動車システムと融合されたものではなく、SU7の体験には及ばない。アップルはEVの開発を断念したのではなく、「時期尚早として延期した」と私には思える。

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