トップリーダーには「話す前」の共通点があった 口下手でも準備をすれば人前で話す力は習得できる
東洋経済オンライン / 2024年9月1日 17時0分
スティーブ・ジョブズ、ウィンストン・チャーチル、アドルフ・ヒトラー、安倍晋三元首相……。彼らはなぜ、あんなに流暢に人前で話すことができるのでしょうか。実は、彼らが人前に立つ前にやっていることに秘密があったのです。
※本記事は矢野香著『世界のトップリーダーが話す1分前までに行っていること』の内容を一部抜粋・再編集したものです。
歴史を動かしたトップリーダーが直した癖
「言葉で国民を鼓舞する政治家」といわれた元英国首相、ウィンストン・チャーチル。
彼は議会の何日も前から想定される野次への切り返しや受け流しなどの練習をしていたといわれています。実は吃音という発話障害を持っていたともいわれる彼は、人前ではまったくその片鱗を見せませんでした。連日の練習があってこそ、原稿なしで堂々としゃべっているように見えたのです。
また、話すことでカリスマ性を発揮したドイツのヒトラー。彼の事績については賞賛すべきではありませんが、人を魅了する話し方を知るにあたって避けては通れない一人です。
声を張り上げ大きな身振りで聴衆を煽り立てるイメージのある彼が、鏡の前に立ち一人でポーズをとりながら練習をしていた写真が見つかっています。撮影したカメラマンに破棄を命じたとされるこの写真は、本人は隠したかった人前に立つ前に行っていた秘密だったのかもしれません。
安倍晋三元首相は97代目内閣総理大臣時の2015年4月29日、アメリカ議会の上下両院合同会議で演説を行いました。日本の首相がこの会議で話すのは初めてで、一世一代の舞台だと注目されました。
45分間にわたる英語による演説の後、会議場からは割れんばかりの拍手が沸き起こりました。その中には、立ち上がり手を叩くバイデン副大統領(当時)の姿もありました。
このときのスピーチライターであった谷口智彦氏はのちに、この演説の実施が決まったのが約40日前であったこと、原稿作成を始めたのは1カ月前だったことを明かしています。そこから安倍氏の猛練習が始まったのです。
毎日毎日、自宅で大声を張り上げ練習し、昭恵夫人が「わたしまで覚えちゃいそう」と語ったほど。
その後は、アメリカに向かう政府専用機のなかでも米迎賓館についてからも練習を続けていたといいます。演説前夜には、オバマ大統領(当時)が「今夜も明日のスピーチの練習をするらしいから」という言葉で宴のお開きを宣言したエピソードも紹介されています。アメリカ大統領も彼の一途な努力を認めていたのでしょう。
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