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「もったいない」医療費をしぶった妻が知った真実 診察代や薬代を抑え、適切な治療を受けるコツ

東洋経済オンライン / 2024年9月1日 8時0分

主治医の意見に不安や疑問を感じたら、セカンドオピニオンで別の医師の意見を聞くのもいいでしょう。

セカンドオピニオンを求めるのは、特にがんや進行性の難病など、治療が高度で、長期化する病気ではよく見られることです。患者さんが適切な医療を受けられるように認められている権利ですので、うまく活用してほしいと思います。

お金を理由に医療をセーブする動きは、実は若い人にも見られます。夫と幼い子どもと3人暮らしで、末期の乳がんを患っていたBさん(42)もその1人でした。

がんが進行し、自宅で過ごすには、容体の急変に備えて訪問診療が必要な状況だったのですが、医療費を理由にしばらく渋っていました。

Bさん一家は一般的な所得がある家庭でしたが、Bさんは自分が亡くなったあと、幼い子どもに少しでもお金を残してあげたいとの思いから、抗がん剤治療を継続するかどうかも迷っていました。

お金を理由に、本来、服用しなければならない薬を自己判断で休むことも続いており、彼女を担当していた病院の主治医もお困りのようでした。

子どもにお金を残したいから

若いがん患者さんで、特にお子さんがいる場合に見られるのが、Bさんのように「子どもにお金を残したい」という理由から、医療費をセーブしようとする動きです。

入院すると保険金が下りる民間の医療保険などに加入している場合、本当は家で子どもと一緒に過ごしたいのに、「入院すると保険金が下りるから」という理由で、残された時間を病院で過ごそうとされる方もいます。

「子どものために」という親心を否定するわけではありませんが、治療によって良くなったり、残された時間を延ばすことができる可能性が少しでもあるなら、やはりそれは本末転倒だと筆者は考えています。

もちろん、治療による効果と副作用と照らし合わせて、治療をしないほうがいい時間を持つことができそうだと考える場合は、それでいいと思います。

しかし、治療費を節約して適切な医療を受けるのを諦めたり、本当は家族と過ごしたいのにお金のために入院したりといった行動は、優先順位を見失っていると言わざるを得ません。

70歳までの現役世代は、医療費の自己負担が3割と、高齢者に比べて高くなります。しかし、高額な医療費を支払ったときは、「高額療養費制度」で一定額を超えたぶんは払い戻されます。そのため、「思ったほどはかからなかった」という場合も多いのです。

それでも経済的な理由から、医療費を支払うのが困難なケースもあります。そのときは「無料低額診療事業」という制度を利用すると、無料または低額な料金で、自治体によって指定されている医療機関の診療を受けることができます。

無料低額診療事業は経済的な理由で、医療を受ける機会を制限されることを防ぐ国の制度で、低所得者などが対象です。

思い込みや目先のお金にとらわないで

無料低額診療事業を行っている施設は、全国に約700カ所あります(2024年8月時点)。各自治体の実施施設は、各都道府県のホームページなどでご確認ください。

健康は、お金には代えられない大切なものです。思い込みや目先のお金にとらわれず、長い目で見て、本当に大切なものは何か、的確に判断してほしいと願います。

そして正しい情報を得たうえで、国や自治体の制度などをうまく活用してほしいと思います。

(構成:ライター・松岡かすみ)

中村 明澄:向日葵クリニック院長 在宅医療専門医 緩和医療専門医 家庭医療専門医

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