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「数値化するほど成果が出ない」日本企業の深刻盲点 「局地」と「短期」で相性が悪い数値化を有効活用

東洋経済オンライン / 2024年9月2日 10時0分

すなわち、「数値」は人間っぽくないのです。よって私も含め一部の「数値を扱うことが大好き」という特殊な人を除けば、ほとんどの人にとって数値というものは極めて相性が悪いものと考えます。ここに大きな落とし穴が潜んでいるのです。

積極的に数値化をしていくということは、仕事をする環境においてさまざまなものが数値化されるということになります。大雑把に言えば、「数値まみれ」になるということです。

極端な例で考えてみましょう。あなたの職場ではすべての人の会話が記録され、時間や質などがすべて数値化されるとしましょう。あなたの上司からの評価、部下からの評価もすべて数値化されます。デスクワークをしている際、目線がどう動いたか、どれだけ集中しているかがすべて記録され、これもまた数値化されます。

そんな環境に身を置くことを想像してみてください。おそらくあなたは「なんだか息苦しい」と思うはずです。

しかし、積極的に数値化をしていくということは、つまり先ほどのような姿を目指すということなのです。極めて相性が悪いものにまみれる環境で、果たして人はいいパフォーマンスを発揮できるのでしょうか。

成果を出す人は「局地戦」と「短期戦」で勝負する

ではどうすればいいのか。キーワードが2つあります。「局地戦」と「短期戦」です。

局地戦とは、限られた場所で戦うこと、勝てる場所に限定して戦うことを意味します。

先ほどもお伝えしたように、あまりに数値化された情報が多すぎる環境は適切ではありません。しかしながらビジネスにおいて生産性を上げたり業務改善したりするためには、数値化は必須です。

ゆえに重要なのは、「すべてを数値化する」のではなく「大切なものだけを数値化する」という発想です。物事の本質を捉えるエッセンシャル思考が必要になるでしょう。

たとえば私のような人材育成に従事する仕事においてエッセンシャルなのは、研修やセミナー受講者の行動変容です。ですから研修やセミナーの満足度を数値化することにあまり意味はありません。その研修を受講する前の行動、そして受講後の行動を数値化し、両者を比較することが重要ということになります。

短期戦とは、短い期間で決着をつける戦いを意味します。

ビジネスではできるだけ数値化した情報を使うべきです。しかし矛盾するようですが、できるだけ相性の悪いものとは距離を取りたい。ならばその“お付き合い”は短い時間で終わらせることが理想ではないでしょうか。

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