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祖父母が知らぬ「赤ちゃんの最新アレルギー対策」 昔とは全然違う「スキンケア・離乳食」新常識

東洋経済オンライン / 2024年9月2日 11時0分

日本の赤ちゃんのスキンケアが「保湿重視」の方向に切り替わったのは、ここ10年ほどのことのようだ(写真:hirost/PIXTA)

小さな子供にシャワーを浴びさせた後、バスタオルでポンポンと体を拭いてやり、肌に保湿ローションを塗る——出産時に病院で教わった「湯上がりの保湿」だ。子供の誕生以来、夫婦で1年以上続けてきた習慣だが、ここへきてふと筆者の頭に疑問が浮かんだ。

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ベビーパウダーから保湿ローションの時代へ

自分が子供の頃は、湯上がりにはベビーパウダーをはたいて肌を乾燥させていたのではなかったか?

脱衣所に置かれたベビーパウダーの丸い缶に、ふかふかとした白やピンクのかわいらしいパフ。独特の甘い香りや粉のさらりとした感触の思い出とともに、30年以上前の光景がありありと蘇ってくる。

江戸時代から乳児のあせも対策として使われてきた天瓜粉(てんかふん。天花粉とも)は、夏の季語。キカラスウリの根のデンプンを細かい粉にしたものだ。

また、日本初のベビーパウダーは、日本の小児医学の草分けとなった弘田長(ひろた・つかさ)氏と薬学者の丹波敬三氏が共同で開発した。明治期の1906年に和光堂薬局から発売され、商品名のシッカロールはベビーパウダーの代名詞となった。夏のあせも予防だけでなく、布おむつの蒸れによる肌荒れ(おむつかぶれ)の予防としても、季節を問わず使われてきた。

そんな日本の赤ちゃんのスキンケアが「保湿重視」の方向に切り替わったのは、ここ10年ほどのことのようだ。

国立成育医療研究センターを中心とした研究チームによって118人の新生児を対象に実施され、2014年に堀向健太氏(現・東京慈恵会医科大学)、森田久美子氏(現・東京都立小児総合医療センター)らによって国際誌に論文発表された研究では、新生児期から皮膚に保湿剤を塗ることで、アトピー性皮膚炎の発症リスクが3割以上低下することが示された。

また、世界各地の研究から、乳幼児期にアトピー性皮膚炎を発症した子供は、食物アレルギーなど他のアレルギーを発症するリスクも高くなりがちだと知られていた。つまり、皮膚の保湿を通じて、間接的にさまざまなアレルギー疾患の発症を予防できる可能性もあるということだ。

食物アレルギーは皮膚を通じて始まる?

では、肌の保湿はどのようなしくみでアレルギー予防にかかわっているのだろうか。

アメリカの医療人類学者、テリーサ・マクフェイル氏は、アレルギー専門医や基礎研究者らへの取材を精力的に行い、その成果を『アレルギー:私たちの体は世界の激変についていけない』(東洋経済新報社)にまとめている。

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