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祖父母が知らぬ「赤ちゃんの最新アレルギー対策」 昔とは全然違う「スキンケア・離乳食」新常識

東洋経済オンライン / 2024年9月2日 11時0分

彼女が同書の中で紹介している「上皮バリア仮説」は、皮膚アレルギー、食物アレルギー、呼吸器アレルギーなど、さまざまなアレルギーどうしのかかわりを解明する手がかりとして注目されているものだ。

上皮バリア仮説は2017年、大学院の博士課程を終えたばかりだったキャスリン(ケイト)・L・ポトーベン氏と、先述の書籍『アレルギー』に登場する研究者の1人であり、ノースウェスタン大学医学部でアレルギー・免疫学部門長を務めたベテランのロバート・P・シュライマー氏との共著論文で提唱された。

上皮バリア仮説の「上皮」とは、皮膚、目の角膜、鼻・気管・肺の粘膜、胃腸の粘膜など、体の内外の表面を覆う細胞の層のこと。体を外部から守る防御の最前線でもあり、そのバリア機能が何らかの理由で乱れると、体は無防備な状態で外界にさらされることになる。

その結果、体内の細胞が過度に刺激されたり、本来はわざわざ攻撃するまでもないはずの相手(例えば食べ物・埃・花粉など)を敵として記憶してしまったりすることが、アレルギー発症につながるのではないかと考えられている。

赤ちゃんの肌を守るには

上皮バリアが乱れる要因は、ホルモンバランスの乱れや、肌荒れ・傷などさまざまだ。

医師であり、アトピー性皮膚炎の研究者として世界第一線で活躍するドナルド・リャン氏は、『アレルギー』の取材の中で、合成洗剤やアルコール含有製品を過度に使うことの問題点を挙げている。洗浄力や殺菌作用の強い薬液が皮膚についたり、飛沫や埃として気道に入り込んだりすることによって、上皮バリアの機能が日々じわじわと損なわれている危険があるというのだ。

また、ここ十数年ほどの研究により、遺伝的な要因で生まれつき上皮バリアが弱い人がいることもわかってきた。

イギリスのブライトン・アンド・サセックス・メディカル・スクールの小児科長であるソムナス・ムコパディエイ氏が着目するのは、皮膚の角層をホチキスのように束ねる「フィラグリン」というタンパク質だ。生まれてくる赤ちゃんの10〜15%ほどは遺伝的にフィラグリンのはたらきが弱く、皮膚の上皮バリアがゆるんだ状態になっているという。

皮膚科・小児科の医師で、アメリカのシカゴ統合湿疹センターの所長を務めるピーター・リオ氏は、この状態を「リーキー・スキン(leaky skin:漏れやすい皮膚)」という言葉で説明する。現在勧められている保湿重視のスキンケアは、生まれつきリーキー・スキンを抱える一部の赤ちゃんにとっては特に有効だと考えられている。

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