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巨象インドと「20年前の中国」共通点と大きな違い 日本企業のビジネスチャンスはどこにあるか

東洋経済オンライン / 2024年9月2日 8時0分

IT企業が集まるデリーの「サイバーシティ」の退勤ラッシュ時の風景(記者撮影)

世界一の人口を抱え、GDPで世界3位になることが確実視されるインド。日本企業はこの国とどう向き合えばよいのか。『週刊東洋経済』9月7日号の特集は「インドが熱い」。インドの実情とビジネスのヒントを徹底リポートする。

デリーの空港に降り立つと、すぐに感じるのは大気汚染の深刻さだ。到着後の数日はのどに違和感が残り、20年前の北京でも同様だったのを思い出す。

【写真で見る】2004年の北京、2024年のデリーの街の様子

20年のタイムラグは、経済面のデータとも整合する。中国にも駐在経験がある野村総合研究所インド法人の郷裕氏は「デリー、ムンバイ、ベンガルールの1人当たりGDPはすでに5000ドルを超え、これは2005〜07年の北京や上海に相当する」と指摘する。

08年の北京五輪、10年の上海万博を控え、中国の中間層増加や都市化がスポットライトを浴びていた時期だ。中国経済は01年のWTO(世界貿易機関)加盟を起爆剤として、2桁ペースの高成長を続けていた。その原動力となったのは農村から供給される安価な労働力を武器とした製造業だ。

グローバル企業の輸出拠点として「世界の工場」といわれる強力な生産基盤が形成され、その稼ぎで国民が豊かになるにつれて中国は「世界の市場」へと転換していった。インドも同じ道をたどるのか。

内需狙いが多数派

まず押さえておくべきは、インドへの直接投資の中で製造業が占める比率は半分もないということだ。世界的にはITやサービス業の有望投資先であり、ものづくりを主な関心事とする日本はむしろ例外的な存在だ。製造業はまだインド経済の主役ではない。

今インド進出を考える日本企業の中では、インドの内需開拓を狙う向きが多数派だ。最初は輸出拠点にするために進出した中国とは、そこが大きく違う。

03年から合計15年もの中国駐在経験を持ち、現在はデリーを拠点とする中村伸吾・みずほ銀行執行役員インド営業部長は「20年前の中国には、日本企業のライバルになるような現地企業はそこまで多くなかった」と指摘する。

一方で現在のインドには、タタやマヒンドラ&マヒンドラなど、古くから自動車を製造しているメーカーが複数存在する。ほかの分野もしかりで、「日本ブランド」が圧倒的に強いとはいえない。

裾野産業も同じだ。今やスズキのインドでの現地調達率は9割を超えている。20年前の中国ではここまで地元企業は育ってはいなかった。だからこそ日系企業のチャンスは大きかったともいえる。

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