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「EV逆風下の最高益」中国BYDの強さを読み解く PHVを積極投入、高いコスト競争力と開発力誇る

東洋経済オンライン / 2024年9月3日 8時40分

EVの減速をPHVでカバーする、まさに二刀流の強みといえる。ちなみに7月(単月)はEVが3.5%減、PHVは66.9%増となっている。

価格破壊と豊富なラインナップでライバルを圧倒

BYD自身がPHVを強化する戦略を鮮明にしている。

今年2月から主力車種(EV、PHVとも)を値下げし、価格競争の口火を切った。中でもライバルに衝撃を与えたのが、コンパクトセダンの「秦PLUS DM-i」。特にPHVの最廉価グレードは約8万元で、購入税10%の免除措置を受ければ、同じセグメントの人気車種である一汽トヨタのカローラのガソリン車モデルより約3割も安くなる。

5月以降、セダン「秦L」や「海豹06」、多目的スポーツ車(SUV)の「宋LDM-i」や「宋PLUS DM-i」、新型スポーツセダン「海豹07DM-i」などのPHVモデルを相次いで投入した。

2つ目は、製品技術の向上だ。

BYDは今年5月、同社の最新PHV技術「第5世代DM-i」を搭載した新モデルを投入し始めた。エンジンの熱効率は世界最高水準となる46.06%、100㎞当たりの燃費は2.9ℓを実現し、PHVの航続距離(エンジン・モーター走行と電動モード走行の組み合わせ)は2100㎞に達した。

日本勢が得意とするハイブリッド車(HV)と比較しても、優位性を持つPHVのパワートレーンを実現した。これまでHVを含むエンジン車に乗っていた消費者が、PHVに乗り換える流れを作り出した。

こうした技術向上を支えるのが研究開発(R&D)に対する積極的な姿勢だ。2024年1~6月のR&D費は41.6%増の211.7億元、純利益の1.5倍に相当する規模である。売上高R&D比率は2022年の4.9%から2024年1~6月には7.0%へと上昇している。研究開発力の強化はBYD躍進の大きな要因だろう。

従業員数は75万人

2024年6月末時点での従業員数は75万人に達し、上海汽車の3倍に上る。そのうち10万人規模の研究開発部隊は人海戦術とデジタル技術の融合で技術革新に取り組んでいる。外資系サプライヤーから調達した部品を分析・学習し、製法の開発や機械の内製を実現した事例も少なくない。

3つ目は徹底的コスト削減だ。BYDは独自の技術を採用し、サプライチェーンの垂直統合および規模の経済で強い競争力を維持している。

車載電池やモーターなどのコア部品からランプ、パワー半導体、エアコン、電子部品まで自社で生産しており、ボディーと電池を一体化するCTB(Cell to Body)や、モーターや減速機などの12部品を一体化させた「12 in 1」eアクスルなどを開発し、車両コストの削減につなげている。

成長力でサプライヤーを惹きつけて競争を促す

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