ヨシタケシンスケの絵本の「映像化できない」魅力 「たくさんの発想」を持つことで視野が広がる
東洋経済オンライン / 2024年9月4日 16時0分
ピカソは1881年、スペインで生まれました。父親は美術学校の教師で、ピカソも幼いころから絵を描くことを覚えました。バルセロナにある美術学校を卒業したあと、1900年に初めての個展を開きます。その後、活動の拠点をフランスへ移しました。
この頃、ピカソの作風は「泣く女」とはまったく違います。「青の時代」と呼ばれ、青色を基調とした色彩で市井に生きる人々のすがたを描きました。ひとつの視点から描いていて、人物も写実的です。冷たい雰囲気をたずさえています。しかし、オランダ旅行をきっかけに一転して暖色的な色彩の作品を描くようになり、それは「バラ色の時代」と呼ばれています。
1906年ごろからピカソの関心はアフリカ彫刻や古代イベリアの彫刻に向かい、プリミティヴィズムを希求しはじめます。「アヴィニョンの娘たち」はこの時代の代表的な作品です。伝統的な描き方を捨てて人物を描いています。特にその顔は複数の画風によって描き分けられています。
その後、イタリアのローマを訪れたことをきっかけに「新古典主義の時代」が訪れます。古典的な技法に回帰したのです。このように新奇性に囚われない性格もピカソの革新的なところでした。
そのつぎは「メタモルフォーゼの時代」と呼ばれ、シュルレアリスムの作家たちと交流したことが作風に変化をもたらしました。大胆なデフォルメを取り入れ、スペイン内戦の空爆を主題にした「ゲルニカ」に結実しています。ピカソはスペインの惨禍を象徴的な手法で描き、人類の悲劇を作品に刻みました。
このようにキュビスムはピカソの作風の一側面でしかありません。生涯にわたって作品を作りつづけたピカソは、常に作風を変えていきました。さらに絵画だけでなく、彫刻や陶芸、舞台美術なども制作しました。作品数は14万点を超えると言われています。
ピカソが生きた時代は、芸術家の役割が変わっていった時代とちょうど重なります。権威を持った人物をパトロンにし、肖像画や宗教画を描く時代が終わり、芸術家には新たな役割が求められていました。
また、カメラの登場によって遠近法を駆使した写実的な描き方も、その価値が揺らいでいました。さらには20世紀に入ると2度の世界大戦があり、文明の発展に暗い影を落としました。
ピカソはひとつの発想にとどまらず、技法も主題もどんどん変えました。「20世紀最大の芸術家」とも呼ばれる理由は、その多彩な発想が源泉にあるのです。2023年11月8日、ピカソの「腕時計の女」がオークションに出され、210億円で落札されました。
まとめ
➔ヨシタケシンスケの絵本はたくさんの発想を積み上げている
➔ピカソは新しい発想を生涯試しつづけた
➔たくさんの発想自体がブレイクスルーを生み出す
考えてみよう
雨をしのぐ方法を100パターン考えてみよう
最後に話した人のあだ名をできるだけたくさん考えよう
まだ誰も試していないサンドイッチの具材を考えよう
菊池 良:フリーライター
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
好評につき再々演決定! 原作ヨシタケシンスケが美術デザインも手掛ける『りんごかもしれない』 同時上演に『プー吉・チビのムジカブラボー』
PR TIMES / 2025年1月11日 11時45分
-
好評につき再々演決定! 原作ヨシタケシンスケが美術デザインも手掛ける『りんごかもしれない』 同時上演に『プー吉・チビのムジカブラボー』
@Press / 2025年1月11日 10時0分
-
アートは難しく考えずに「ぱっと見」で買うに限る!あとから「この作家さんどんな人なのかな」と世界が広がるから
OTONA SALONE / 2025年1月8日 11時51分
-
“江戸の出版王”蔦屋重三郎が育てた喜多川歌麿は何がすごいのか? 写実性、奇抜な構図、心情表現…美人画に込められた巧みな技法
NEWSポストセブン / 2025年1月5日 16時15分
-
大人気イラストレーター いちろう、絵本デビュー作『おふろ』12月26日(木)発売
PR TIMES / 2024年12月24日 12時45分
ランキング
-
1「大株主として激怒」中居正広さんトラブル報道で“物言う株主”がフジテレビ側に第三者委員会の調査求める
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年1月15日 18時2分
-
2「来週会合で利上げ判断」=米新政権政策、賃上げ注視―植田日銀総裁
時事通信 / 2025年1月15日 16時8分
-
3《三菱UFJ銀行》10億円を奪った元行員・今村由香理(46)の夫は“4.5億円資産家”だった 駐車場収入も「奥さんが徴収に来ていましたよ」
文春オンライン / 2025年1月15日 16時0分
-
4裏切られた気持ちでいっぱいです…月収25万円・65歳サラリーマン、毎年「ねんきん定期便」を必ずチェック、年金月19万円のはずが「初めての年金振込日」に知った衝撃事実に撃沈
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月15日 8時15分
-
5防犯カメラ増設、幹部処分へ=貸金庫窃盗で追加策―三菱UFJ銀
時事通信 / 2025年1月15日 19時26分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください