欧州委、中国製EVへの「追加関税率」最終案を発表 EU加盟国の投票を経て、10月末にも適用開始へ
東洋経済オンライン / 2024年9月4日 18時0分
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は8月20日、中国製EV(電気自動車)に対する反補助金調査が終了したことを受け、各メーカーのEVに対する追加関税率の最終案を発表した。
この最終案は10月末までにEU加盟国の投票にかけられる。承認されれば、中国製EVには向こう5年間にわたって追加関税が課される。
中国製テスラの追加関税は9%
今回発表された追加関税率は、すでに7月5日から課されている暫定税率よりわずかながら引き下げられた。
欧州委のサンプル調査の対象となった中国メーカー3社に関しては、国有自動車大手の上海汽車集団への追加関税率が37.6%から36.3%に、民営自動車大手の吉利控股集団(ジーリー)が19.9%から19.3%に、EV最大手の比亜迪(BYD)が17.4%から17%にそれぞれ修正された。
また、欧州委に個別審査を申請していたアメリカのテスラに対しては、同社の中国工場製EVへの追加関税率を9%とする決定が下された。
中国政府は、欧州委の追加関税は中国製EVを不当に差別するものであるとし、EVメーカーや業界団体とともに強い懸念と反対を表明してきた。だが、欧州委はほとんど耳を貸さなかった。
EUの規定によれば、加盟国の投票において「適格過半数」が反対した場合には、追加関税の適用は否決される。適格過半数を満たす条件は、加盟27カ国のうち15カ国以上が反対票を投じ、なおかつそれらの国々の人口がEU総人口の65%以上を占めることだ。
理論的には、中国はEU加盟国を説得して追加関税の否決を目指すことができる。とはいえ現実には「適格過半数を確保するのは極めて難しい」と、中国の専門家は指摘する。
追加関税の適用前から打撃
追加関税を回避する手段はほかにもある。「中国のEVメーカーが欧州委と協定を結び、EU市場向けの輸出台数および最低価格に制限を設けることで、追加関税の適用が免除される可能性がある」。EUの反補助金調査に詳しい専門家は、財新記者の取材に対してそう指摘した。
EU市場における中国製EVの販売は、追加関税の暫定適用が開始される前から大きな打撃を受けている。
欧盟中国商会(EU中国商工会議所)がヨーロッパのメディアに示したデータによれば、2024年上半期(1~6月)に中国からヨーロッパに輸出されたEVの台数は前年同期比14.6%減少。そのうち6月単月の減少率は30%に達した。
また、市場調査会社のデータフォースによれば、追加関税の暫定適用が始まった7月には、EU域内における中国メーカー製EVの新規登録台数は前月比45%も落ち込んだ。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は8月21日
財新 Biz&Tech
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