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実はイギリスにはない?日本の線路幅「狭軌」の謎 世界各国の「軌間」が映し出す国際情勢と歴史

東洋経済オンライン / 2024年9月4日 7時30分

箱根登山鉄道の線路。標準軌(1435mm)の登山鉄道と狭軌(1067mm)の小田急の車両が走れるようレールが3本ある(写真:walk/PIXTA)

日本に鉄道が走り出してから150年以上が経った。JR在来線をはじめ、日本の多くの鉄道の「軌間」、つまり線路の幅は、国際標準の1435mmより狭い1067mmの「狭軌」だ。

【写真】1676mmの「インドゲージ」までから1000mmの「メーターゲージ」まで。こんなに違う?世界各国の鉄道の軌間

鉄道建設当時、イギリスから派遣された技術者は、山が多く平地も限られている日本で建設に有利であるとして狭軌を導入した。一方、60年前に走り出した新幹線は高速運転のため、国際標準軌を採用した。

日本だけでなく、一つの国の中でも異なる軌間が存在するため列車の直通が困難というケースがあるが、軌間には技術的な理由だけでなく、昔も今も「国際政治」が大きく絡んでいる。どうして複数の軌間が存在することになったのか。世界各国の事情を俯瞰しながら考えてみることにしたい。

日本の「狭軌」はどこからきた?

1825年にイギリスで鉄道が初めて走り出して以降、19世紀後半には各国でレールが敷かれ、鉄道は勃興期を迎える。日本最初の鉄道は1872年、東京―横浜間(現在の新橋―桜木町間)に開業した。この際、イギリスから技師を招いて技術を導入したのはよく知られている事実だ。

【写真】日本の在来線より60cmも広いインドの軌間、ロシアゲージと標準軌が重なるウクライナ、日本と同じNZや南アフリカ…国内の珍しい線路も

一方で軌間について調べてみると、日本の狭軌、1067mm規格で敷かれた鉄道は、実は都市間を結ぶような本格的な鉄道としてはイギリスには存在していない。

なぜこんなことが起きたのか。

イギリスは当時世界各地にあった植民地で、鉄道敷設にかかる面積がより小さく、少ない予算で広範囲に鉄道網が拡大できる「狭軌」を採用していた。そうした経緯の下、イギリスは日本への鉄道技術導入の際、それを応用した。

日本で「狭軌」と呼んでいる1067mm軌間は、海外、とくに英語圏では、日本の鉄道よりも開業は遅かったものの、南アフリカのケープ州で採用された軌間であることから、「ケープゲージ」とも呼ばれている。ケープゲージは、イギリスの植民地支配の影響下にあった国々、例えばオーストラリア(主にクイーンズランド州)やニュージーランドでも用いられている。

イギリス本国でも導入例はあったものの、これら各国のように都市間を結ぶ鉄道ではなく、路面電車やケーブルカーなどだった。

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