「アメリカ経済」がなんだかんだ好調な根本理由 知られざる「バイデノミクス」の中身と成果
東洋経済オンライン / 2024年9月4日 9時30分
ヘザー・ロングとエイデン・バートンは、7月18日付のワシントン・ポスト紙で、トランプとバイデンの経済運営を17項目で比較した。その結果、インフレ、賃金、住宅購入、消費者心理、年収、株式市場との比較から、トランプの経済運営にインフレの点で優位性を与えた。
一方、バイデンの経済運営では、雇用増加数や経済成長、郡別の雇用、アフリカ系アメリカ人労働者、アメリカの製造業、産業別の雇用創出、住宅価格、起業促進、健康保険、子どもの貧困、連邦債務の点で優位性が認められた。また、不平等に関する点では、どちらにも明確な優位性は見られなかった。大雑把なポイント制度を採用するなら、バイデンが11対5で明らかに勝利したことになる。
アメリカ経済自体は、両大統領のもと、力強く成長してきた。パンデミック前のトランプ政権下で、インフレ調整後のGDP成長率は年間2.5〜3%に達し、その後、バイデン政権下の2021年に6%近く、2022年に1.9%、2023年に2.5%の成長を記録している。
アメリカではパンデミック前に、トランプ政権下で670万人の雇用が創出されたが、パンデミック後は、同政権下で270万人の雇用が失われている。その後、バイデン政権下で1570万人の雇用が増えた。
ただ、バイデン政権下での好景気は高インフレと相まっている。インフレ率は、トランプ政権の4年間では15.4%だったのに対し、バイデン政権の最初の3年間では19.4%になった。
このこともあって、アメリカ人はトランプ政権下のほうが、経済がいいと感じていた。ミシガン大学消費者信頼感指数は、パンデミック前のトランプ政権下では72から101、バイデン政権下では50から88で推移したことが報告されている。
今年7月のアメリカの雇用統計は予想よりも弱く、失業率が4.1%から4.3%に押し上げられ、アメリカ、日本、その他の主要国の株式市場が下落する原因となった。しかし、市場は回復し、現在、連邦準備制度理事会(FRB)は経済活動を維持するために9月中旬に金利を引き下げると予想されている。
インフレはバイデンの責任ではない
私は、ロングとバートンの比較結果は、実際にはバイデンとトランプの経済運営における成果の差異を過小評価していると指摘したい。先進国に蔓延したパンデミック後のインフレをバイデンの責任にするべき理由はほとんどなく、前述のように、アメリカはこの課題をたいていの貿易相手国よりもうまく克服している。
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