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所得だけではわからない沖縄の幸福度が高いワケ 消費性向が高く、幸福度も高い独自市場

東洋経済オンライン / 2024年9月10日 14時0分

しかし、沖縄のファストフード店は高齢者の利用も多く、牛丼チェーン店ではテーブル席にファミリーが腰かけ、コンビニエンスストアではフライドチキンやカフェレベルのコーヒーが売られています。これは、いずれも沖縄が先駆けです。最近では、沖縄てんぷらまで売られるようになり人気です。

沖縄でのターゲティングは足し算で

このように沖縄の消費シーンの特徴は大きく異なるのです。進出に成功している企業では、想定ターゲットを本土より拡大して、沖縄仕様にカスタマイズすることで課題をクリアしているようです。本土市場で想定している顧客より、かなり幅広く構える。絞るのではなく逆に足し算でターゲットを拡大していくわけです。

そして、ターゲットを絞りすぎてはいけないもうひとつの理由が、チャンプルー文化の存在。その代表格が食堂です。多様な文化が融合し成熟してきたのが沖縄社会。その象徴的な存在が沖縄の食堂です。豆腐チャンプルーにカレーライス、とんかつ定食に、麻婆豆腐、ミートソーススパゲティ。沖縄料理はもちろん、和食・洋食・中華、何でもござれで100種類を超えるメニューを誇る店も珍しくありません。そのカオス的な雰囲気が温かみや楽しみを演出し、純粋な本土仕様の飲食店とは人気面で一線を画しているわけです。

特定の市場を狙って、あえて沖縄市場に媚びないというのも1つの戦略です。しかし、牛丼チェーン店で普通にタコライスがメニュー化されているように、地元に合わせるという戦略を私はオススメします。沖縄進出にあたっては、沖縄食堂のメニューをイメージして、さまざまなニーズに応えるべく顧客ターゲットを足し算で考え、楽しさを生み出すという柔軟な思考を持ってほしいと思います。沖縄ではメニュー数の多さが、消費者の心を動かす大事な原動力となるのです。

「ゆいまーる」の精神が息づき、笑顔で暮らせる場所

県民所得や平均貯蓄額といった経済指標では常に最下位クラスの沖縄で、さらに消費性向が高いとなると、生活に困っている人が多いのではないかと思われるかもしれません。事実、貧困率は高いものの、それは一側面に過ぎません。多くの沖縄県民は、統計で表されるほど生活に困っていません。統計値だけでは見えてこない、沖縄ならではの生活様式が息づいているからです。

よくある話が「仕事から帰ると、袋いっぱいのゴーヤーが玄関前に置かれていた」といった日常のエピソード。袋には名前は書かれていないものの、「ああ、これは○○さんが持ってきてくれたんだ」と、沖縄の人ならわかります。立派な食べ物やお土産をわざわざ買って届けるのではなく、自分の畑で作ったものを名乗るわけでもなく、家の人がいなければ、そっと玄関に置いてくる。それがウチナーンチュ(沖縄の人)、特に田舎では普段の生活シーンです。

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