生鮮品の「ネットスーパー」使ってみてわかった壁 Amazonフレッシュなど主要大手を比較してみた
東洋経済オンライン / 2024年9月10日 11時0分
ネットスーパーでは「必要なものを買う」という事務的な購買行動になるが、リアルでは「これが欲しい」という物欲をあおられてのイレギュラー買いをしてしまうというわけか。
節約になるかという視点では、普段の買い物で一度に2000円も買わないという人にはメリットは少ないだろう。日常から週末に5000円以上まとめ買いをして、肉も魚も大量パックで冷凍保存する家庭なら効果があるといえそうだ。子ども連れで行くとお菓子をねだられたり、余計なものをついで買いして後悔しがちな人にも有効だろう。家まで届けてくれるので、車を使う人ならガソリン代の節約になるし、むろん時短にもなる。
ただし、前にも書いたようにモヤシや葉物野菜は日持ちしないので、買いだめには向かない。魚介類は干物や冷凍もの・調理済み商品が主になる。作り立てのお総菜も買えない。ネットスーパーだけですべてを補うのはなかなか難しい。
Amazonはやる気満々?
それでも、実際には一定の需要はあるのだろう。それは、首都圏限定でスタートしたAmazonが、その後対象エリアを拡大していることからもうかがえる。
なお、Amazonらしく、プライム会員だと配送料が200円ほど安くなる。しかし、送料無料になるには8000~1万円以上買わなくてはならない(プライム会員の場合)。
なお、今回利用したネットスーパーでは注文当日の配達に時間制限があったが、Amazonは「ご注文から最短2時間」とある。せっかくなので頼もうとしたが、追加料金がかかるとわかり断念した。なんと合計で1000円近い配送料を払うことになりそうだったのだ。
ネットスーパーが食費節約の助けになるかどうかは、今後の物流費次第ともいえる。しかも、Amazonの他の通販と違い、「置き配」の対応はない。配達時間帯に在宅して受け取らないとキャンセルになってしまったりする。置き配や再配達に慣れっこになっている現代人にとって、それもハードルだろう。
とはいえ、都市部に居住していても、体力や健康上の理由で徒歩5分先のスーパーに行くのも難しいというシニアも増えてくるだろう。そういう層にとって、ありがたい存在になることは間違いない。
ネットならではの「提案型スーパー」に期待
食費節約のポイントは、「適量を買って使い切ること」だと言うのが筆者の持論だ。その意味では、ネットスーパーは余計な「提案型」セールスに惑わされずに済むし、冷蔵庫の在庫を見ながら事務的に注文できるので、まだ残っている食材をうっかり買ってしまうこともない。
ただ、個人的には買い物の楽しさは味わえなかった。 筆者は料理を作るのが好きで、店頭で食材を見ながらあれこれメニューを考えたいほうだ。並ぶ野菜から季節を感じたり、米がそんなに品薄なのかと驚いたり、買い物をしながら学ぶことも多い。消費者の財布のひもを緩めるのは、そんなワクワク感なのだ。
ネットスーパーは今後どんな風に進化するだろうか? 家族人数と予算を入力するとぴったり収まる組み合わせを提示したり、AIがおすすめメニューとともに食材提案をしてきたり、できることはありそうだ。ネットスーパーならではのワクワク感を、ぜひ体験してみたい。
松崎 のり子:消費経済ジャーナリスト
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