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「パソコンは苦手」言い続ける人に欠けているモノ 「IT革命」からすでに四半世紀も経っている

東洋経済オンライン / 2024年9月11日 14時0分

一方、ICTの活用モードでいうと、若い世代はまったく問題ないかといえば、意外にそうでもないのです。特に近年の学生は「デバイスはスマホ一択」といった人も多く、パソコンのキーボードがうまく使えないという人がそれほど珍しくありません。

ある民間企業が約500人の大学生を対象に行った調査によると、いわゆるショートカットキーをまったく使えないという人が約2割、ワードやエクセルといった基本的なPCツールに「自信がない」と答えた若者が約4割に達したといいます。

ある編集プロダクションの社長さんに聞いた話ですが、20代の新人スタッフが、キーボードを見ないで打つ「タッチタイピング」ができないことを、入社後になって初めて知ったと嘆いていました。なぜ面接で確認しなかったのかと聞くと、「まさかそんな人が出版業界の面接を受けに来るとは思っていなかった」のだそうです。

私も大学で教鞭をとっている立場の者ですが、学生に「ICTが得意か」と聞いて「イエス」と答える人は、文系の場合は2割いかないくらいなのです。

そういうとき、私はICTに絡んだ宿題を出してみることがあります。簡単にいうと、「1週間で自分のICT技術を向上させる活動を、なんでもいいから工夫して実践し、そのビーフォー&アフターをレポートで提出せよ」というものです。

これからの「教育環境」は情報通信技術と不可分に

私の専門は教育学で、教えている学生は基本的に教員志望なのですが、現代は教えられる側の子ども全員がタブレット端末を支給されている時代です。

これは文部科学省が2019年に打ち出した「GIGAスクール構想」に基づくもので、1人1台端末と高速通信ネットワークを整備した環境下で、個別最適化された創造性を育む質の高い教育を実現していこうというビジョンがあるのです。

こうなると、民間のソフトウェア企業も文科省の指導要領に合わせた「勉強サポートアプリ」などを開発してきますし、学習塾や通信教育企業でもICT化の動きが加速しています。

子どもたちの教育環境は、これからますます情報通信技術と不可分なものとなります。

そうした中で教える側が「文系だからICTが苦手でさぁ」で済むはずがありません。

卒業までの4年間で少しでもスキルアップを図り、十二分にアップデートした形で教育の現場に挑む必要があります。

齋藤 孝:明治大学教授

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