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「60年間」株式市場と付き合って得た"現実と事実" 初心者に伝えたい「本来の」株式投資の楽しさ

東洋経済オンライン / 2024年9月11日 7時0分

前者の声については、「株式とは何かと考え始めたらきりがないし、本当のことを知っている者はプロでも数少ない」と簡単に答えておきたい。

後者の株式の危険性については、「それは証券会社や関係業者の言いなりになったからにすぎない」とまずは答えておきたい。父母や祖父母の声はともかくとして、過去も現在も未来も、株式で一攫千金を目指せば、その瞬間、財産をなくす危険に直面する。

だが、株式とは本質的に怖いものではない。

筆者の60年間にわたる株式市場との付き合いから得たさまざまな現実と事実を単純化して書くのなら、次のとおりである。

まず、「株式を買うことは子どもでもできる」単純なことである。もちろん契約に関する年齢制限があるため、原則として子ども(18歳未満)が証券会社に株式口座を開けないだろうが、それは契約に関して正しい判断ができないとの理由に基づくだけである。

次に、「株式で損をすることは当然ありうるが、欲さえかかなければ、大ケガとは無縁、何も怖くない」と筆者は信じて疑わない。ここでいう「欲」とは何なのか。

それは「安く買って、高く売ろう」とか、「借金して、たとえば信用取引で株式の売買をしよう」などといったことであり、要するに明日にでも大金持ちになろうとすることだ。

本来の株式の楽しさを伝えたい

1950年以降の日米の株価推移を以下の図にした。日本もアメリカも70年あまりを通じて株価は上昇してきている。

日本の場合、1980年代後半の異常な株高、すなわちバブルと、90年代のバブル崩壊はあったものの、長期で見れば株価は上昇の歴史である。

なお、図の目盛りは常用対数を使ったから、株価推移を示す線の傾きが株価上昇率もしくは下落率を表している。株価推移については現地通貨ベース(日本は円、アメリカはドル)と円ベースの両方を示した。後者は円高、円安の影響を受ける。

極論に近いが、1980年代後半に生じた日本のバブルにより、超が付くくらい異常に高くなった株価(正確には日経平均株価)でさえ、34年2カ月を要したものの、2024年2月には元に戻った。つまり、株価はゼロにはならない。

宝くじや競馬の馬券と株式が大きく異なるのは、この「ゼロにならない、紙くずにならない」点にある。言い換えるなら、株式とは、そもそもは博打とは別世界にある。

株式を博打にしたければ、いくらでも方法はあるのだが、私は「株式を博打にしないことが重要」と忠告しつつ、本来の株式の楽しさを伝えたい。

繰り返しておく。本来の株式は博打の対象でないのだから、変な潰れそうな企業の株式を、それも異常に高い値段で買わないかぎり、株価が下落したところで、いずれ元に戻る。

株価の水準を心配するに越したことはないが、過剰に心配するのは時間の無駄であり、みすみすチャンスを逃しかねない。

少額で十分なので、まずスタートすることにしよう。

川北 英隆:京都大学名誉教授、京都大学成長戦略本部・証券投資研究教育部門 客員教授

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