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「若手を叱るな」「本気ですか?」で組織崩壊の悲劇 「プライドを傷つけない」叱り方を全力で考えよ

東洋経済オンライン / 2024年9月12日 7時30分

そして、あるベテラン社員が社長に抗議するかのように、わざと遅刻するようになりました。ただ、部下を叱るなと言った以上、社長もそのベテラン社員を叱れず、会社の空気は険悪になり、社員のモチベーションは大きく下がっている状況。

このままだと組織が崩壊しかねないという相談もありました。

叱らないということの弊害

募集をかけてもなかなか人が採れない会社は、やっとの思いで採用した新人が離職をすることを恐れ、腫れ物に触るように関わる会社も多いです。

そういう会社では「若手を叱るな」という指示を出すことも珍しくないのです。

たしかに今の若手社員は、叱るとすぐ辞めるというのは傾向としてあります。

それはストレスに弱い、学生時代に叱られたことがあまりないため叱られることの耐性がないということに加え、今は圧倒的な売り手市場のため、転職先は探せばすぐ見つかるという状況も影響しています。

しかし、ルールを破ったときなど、叱るべきときに叱らないと、部下は「これは叱られないんだ」と学習し、また同じことを繰り返します。

周囲も「あんなことしてるのに叱られないんだ。じゃ、自分もやっていいのかな」と思い、同様の行動を取るようになることがあります。

そうなると組織の規律が乱れ、雰囲気は悪くなり、士気も下がり、社員は大きなストレスを抱えるようになります。

その結果、若手社員のみならず、全社員の離職の可能性が高まるわけです。

部下を叱る際にはプライドを傷つけない

もちろん若手の離職を防ぐことは大事なことです。

ただ、それを重視するあまり、会社の規律や雰囲気、士気、そして他の社員を犠牲にしてよいかというと、決してそうではないでしょう。

そのため、叱るべきときに叱ることは必要だと考えます。ただし、離職されないように叱り方には細心の注意を払う必要があります。

まず、叱る際には絶対にプライドを傷つけないことです。

人にはプライドを守ろうとする本能があるため、プライドを傷つけられると心を閉ざし、その人と距離を取ろうとします。

そのため、プライドを傷つける叱り方をすると部下との関係が悪化し、離職に至るおそれもあります。

プライドを傷つけない叱り方の1つとして、大前提として相手を肯定したうえで部分的に叱る方法があります。例えばこんな叱り方です。

「君は仕事の上達が早いよね。やっぱりこういう能力が高いんだと思う。大したもんだ。ただ、この点はちょっとできていない。それはもったいないから、今のうちに直しておこう。とはいえその能力を伸ばしていけば今後が楽しみだ。期待してるよ」

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