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居酒屋のチンチロ、実は「客も店も得」な数学的理由 現役東大生が「確率」を実際に計算してみた

東洋経済オンライン / 2024年9月12日 10時0分

チンチロ(写真:uco/PIXTA)

数学を使って世の中の仕組みを知ることで、物事を見る視野が広がります。現役東大生の永田耕作さんが数学の魅力について解説する連載『東大式「新・教養としての数学」』。今回のテーマは「居酒屋のチンチロの確率」です。

居酒屋でよくある「チンチロ」とは?

居酒屋という場でよくある、「チンチロ」というゲームを皆さんはご存じでしょうか?

チンチロとは、正式名称をチンチロリンという大衆的なゲームの1つであり、一般的に複数個のサイコロと丼を用いて行われます。サイコロを振って出た目によって作られた役の強さを競うゲームですが、そのルールを少し応用して、多くの居酒屋で楽しまれているのです。

お店にもよりますが、多くの場合は「サイコロを2つ同時に振り、結果によってドリンクの量や値段が変わる」というルールが採用されています。例えば以下のとおりです。

出た目が同じ(ゾロ目):ドリンクが無料になる

出た目の和が偶数:ドリンクが半額になる

出た目の和が奇数:ドリンクの量が2倍になり、値段も2倍になる

このルールの場合、お客さん側の視点で考えれば、

・ゾロ目ならタダ

・偶数でもお得

・奇数でも実質同じ値段

であるため、明らかにお客さんが得をするルールのように見えます。しかしこのシステムは、実はお店とお客さんの両方が得をする、つまり「Win-Win」のシステムになっているのです。

ビジネスの場でもとても重要になる、この「どちらにとっても利益がある」という構図が居酒屋のチンチロでいかにして実現するのか。具体的に計算をしてみましょう。

サイコロを2つ振ったときに「ゾロ目」「和が偶数」「和が奇数」となる確率をまず求めます。サイコロの出目は1から6までで6種類あることから、2つのサイコロの出目の組み合わせは6×6の36通りであることがわかります。

その中で2つの出目が同じ(ゾロ目)となるのは、

(1,1)(2,2)(3,3)(4,4)(5,5)(6,6)

の6通りであるため、ゾロ目になる確率は、

6/36=1/6

となります。同様に、ゾロ目以外で和が偶数になるのは出目が、

(1,3)(1,5)(2,4)(2,6)(3,1)(3,5)(4,2)(4,6)(5,1)(5,3)(6,2)(6,4)

の12通りであるため、和が偶数となる確率は12/36=1/3より「3分の1」となります。奇数も同様に考えてもよいですが、サイコロの出目の和は必ず偶数(ゾロ目も含む)か奇数のどちらかになるため、全体を表す確率1から、「3分の1」と「6分の1」の両方を引くことで求めることができます。

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