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居酒屋のチンチロ、実は「客も店も得」な数学的理由 現役東大生が「確率」を実際に計算してみた

東洋経済オンライン / 2024年9月12日 10時0分

つまり、出目の和が奇数になる確率は、

1-(1/6+1/3)=1/2

となります。

直感的には「偶数」と「奇数」は確率が同じように感じられますが、ゾロ目が必ず偶数になることから、この3つの中では「奇数」の確率が一番高くなるようになっているのです。

期待値を計算してみる

さて、それぞれの出目の確率がわかったところで、チンチロゲームを行った際の1杯あたりの値段の期待値(平均値)について考えていきましょう。

ドリンクの量や値段はお店によって異なりますが、計算を簡単にするために今回は1杯400円のドリンクで計算します。すると、

出た目が同じ(ゾロ目):1杯0円

出た目の和が偶数:1杯200円

出た目の和が奇数:2杯800円(1杯あたり400円)

となります。期待値は、それぞれの値段とその値段に決定される確率をかけ合わせることで求められるため、今回の場合は、

0×1/6+200×1/3+400×1/2=266.66…

となり、1杯あたり平均260円ほどで飲めるという計算になります。元々の値段が400円であることを考えると、チンチロをやったほうがお得に飲めることがわかります。

では、お店側はなぜ「Win」なのか。それは、「1杯」あたりではなく「1回の注文」あたりでの値段を考えると見えてくるのです。

居酒屋では基本的に、1回あたりに1人1杯ドリンクを注文します。「グラス交換制」という、前のドリンクを飲み終わってから次のドリンクを頼むルールを設定している居酒屋も多いです。

そのように考えると、お店側にとって重要なのは「1度のオーダーで、どれだけの売り上げが得られるか」という観点なのです。

チンチロを実施したほうが店の収益に効果的

先ほどと同じチンチロのルール、そしてドリンクの値段で、1回の注文あたりの値段を考えると以下のようになります。

0×1/6+200×1/3+800×1/2=466.66…

チンチロを行わない場合は1回の注文あたりの値段は400円となるため、チンチロを行ったほうが注文あたりの売り上げの平均値は大きくなることがわかります。つまり、お店の売り上げ的にもチンチロを実施したほうが効果的なのです。

居酒屋におけるお酒の原価率は低い傾向にあり、仮にチンチロで奇数が出て2倍量のドリンクを提供することになっても、原価はそこまで上がらないのです。売り上げ増加による利益の増加のほうが大きいと判断し、多くのお店でチンチロが導入されているのでしょう。

世の中には、このように視点を変えて考えてみると違った答えが見えてくるもの、仕組みが多く存在しています。そんな仕組みを俯瞰するために、数学は役立ちます。

永田 耕作:現役東大生・ドラゴン桜チャンネル塾長

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