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2作品で100万円!「アート委嘱」の絶大なる潜在力 VCが毎年5人「アーティストの卵」を選び制作依頼

東洋経済オンライン / 2024年9月14日 9時0分

感じた印象をそのまま作品に込めているわけだが、なかなか刺激的。そこには、”忖度”のようなものなどないことがよくわかる。

続いて、インスパイアの清水俊樹取締役のポートレート。色本藍さん(東京芸術大学大学院美術研究科在学中)が制作した。日常生活を撮影した数枚の写真を基に描いた作品である。

こちらはインスパイア・インベストメントの藤本学取締役のポートレートを描いた山本恵理さんの作品。インスパイアにて面談のうえ、数枚の写真を渡して、そこから作品が生まれた。山本さんは東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻の卒業生だ。

第1期生に選ばれた”アーティストの卵”には、このほかに武蔵野美術大学を2024年3月に卒業した「白 haku」さんと、東京芸術大学日本画専攻卒の杉本岳久さんがいる。

悩ましい企業とアートの関わり

企業とアートの関わりをめぐっては、不祥事や経営効率上の問題が話題になることも多い。

最近では、化学メーカーのDICが、現代アートを集めた秀逸な美術館「DIC川村記念美術館」(千葉県佐倉市)を2025年1月から休館することを明らかに。外部株主からの指摘を受けて、規模の縮小、外部への売却などを検討するようだ。

これまでは「美術館をつくる」「美術展に協賛する」「財団を通じて寄付」といった活動が企業とアートとの付き合い方の定番だったが、業績との兼ね合いで何かと批判されることも多い。そうであれば、アートからは距離を置いたほうが無難、という考え方をする経営者が多数派かもしれない。

しかし、今回のインスパイアのプロジェクトは、企業とアーティストの新しい関わり方を示すものといえる。まとめると以下の3点だ。

1点目は、期間限定の周年イベントとしたこと。今回、インスパイアは美術館をつくるわけではない。表彰するわけでもない。しかも5年で25人50作品という具合に、期間を区切った。

「周年行事を一流のホテルやホールなどを借りて行うとなれば、平気で1000万円を超える支出になる。それはそれで意義はあるものだが、アーティストの卵の作品を購入すれば費用を抑制できるうえ、有形のものとしていつまでも価値が残る」(高槻社長)

2点目は、社員の通常の業務にも絡めていること。インスパイアではこれまでも、社内に華道部を作って池坊のいけばなを学ぶなど、アートと触れる機会を創出してきた。高槻氏個人が購入した高屋永遠、新井文月などの作品もオフィス内に飾られている。今回のプロジェクトによって、アートから得られる刺激を大切にしてきたインスパイアのカルチャーを拡張させることができる。

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