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チョーヤ、あまりに常識外れだった「3つの変革」 完熟梅での仕入れ、柔軟な出荷時間…あと1つは?

東洋経済オンライン / 2024年9月16日 13時5分

中小企業ながらも、梅酒市場の中で無二の存在感を示すチョーヤ梅酒。緩やかな繋がりの中での梅づくりの一方で、有機栽培の土壌作りには、梅農家と共同で取り組んでいる(写真:チョーヤ梅酒提供)

従業員130人で、2023年12月期の売上高が139億円を記録したチョーヤ梅酒(以下、チョーヤ)。

【画像9枚】「青梅ではなく完熟梅を仕入れる」「出荷時間も柔軟に対応」…ではあと1つは? チョーヤが梅業態に起こした、あまりに常識外れだった”3つの変化”

前編では、豊凶の波が激しい梅を毎年安定して確保するために、半世紀かけて農家と信頼関係を築き、ストックを持てるタンクやキャッシュリッチな体制を整えた工夫を紹介した。専属契約をとらず、一見、非合理にも思える「緩やかなつながり」のもとで安定した調達を実現したその姿は、中小企業の堅実かつ懸命なビジネスを感じさせる内容だった。

関連記事:チョーヤが「前代未聞の梅不作」でも平気だった訳 40年の信頼と「一見非合理」な非専属契約の繋がり

だが同社が長年梅酒造りを行うなかで、取り組んできた改革はそれだけではない。梅酒の王者 チョーヤの戦略を紐解く3回シリーズ。中編では、梅酒業界の仕組みから変えた「3つの改革」にスポットを当てる。

1.梅の流通形態を変えた

梅雨時期、スーパーや小売店などに並ぶ梅を想像してみてほしい。青色ではないだろうか。現在、市場に並ぶ梅のほとんどは、この「青梅」だ。青梅とは、熟していない固く青い梅のこと。

【画像9枚】「青梅ではなく完熟梅を仕入れる」「出荷時間も柔軟に対応」…ではあと1つは? チョーヤが梅業態に起こした、あまりに常識外れだった”3つの変化”

実はこの青梅という言葉を使いだしたのは全国の市場だったそうだ。流通時の荷痛みを避けるために求められたのだ。

しかし、チョーヤは異なる考えを持っていた。専務の金銅俊二氏は、「弊社は、青梅という表現を30年前に捨てました」と話す。すなわち、青梅をほぼ使わない選択をしたのだ。なぜなら、樹上で完熟した梅のほうが大粒で果肉が厚く、酸度が高い。これを使うことで、香り、酸味ともに優れた梅酒ができるからだ。

そのためチョーヤに納品される梅のほとんどが、青梅ではなく熟した梅だ。チョーヤが、独自の流通形態を作ったのだ。そんな特別扱いは農家に負担となるのでは……と思われるかもしれないが、実は真逆。農家にもメリットがある。

その理由は、梅の出荷作業を詳しく見ていくとよくわかる。

2.出荷方法を変えた

通常の梅の出荷は、梅を木から収穫し、傷物を選別。その後、大きさを4~5種類に分けて出荷するというものだ。このスタイルは手間がかかり、梅農家にとって大きな負担となる。

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