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誰がなぜ?北陸新幹線「米原ルート」再燃の震源地 小浜・京都ルート2025年度末着工は課題山積

東洋経済オンライン / 2024年9月16日 7時0分

石川県は敦賀―新大阪間の建設費用を負担しないので、気にしているのは工期だ。大阪との直通が最長で28年も先になるのでは、地元経済への悪影響が懸念される。石川県は名古屋圏とも結びつきが強いため、その点でも米原ルートのほうがメリットは大きい。

米原ルート「東海道新幹線乗り入れ」の現実性

京都府は小浜・京都ルートを支持しているが、その一方で西脇隆俊知事は以下の発言をしている。

「引き続き、国や機構において、慎重な調査と丁寧な地元説明を行うとともに、地下水や建設発生土など施工上の課題や環境の保全について適切に対応していただく必要があると考えております」

小浜・京都ルートにおける整備区間が最も長く、住民の間で地下水やトンネル残土処理など環境面の影響を心配する声があるためだ。

また、整備区間が最も長いということは、費用の負担割合も多いことになる。この点については「いずれきちんとした説明があると思っているので、まずはそれを待ちたい」という説明にとどめた。

野党の中にも反対勢力がある。日本維新の会国会議員団の馬場伸幸代表と教育無償化を実現する会の前原誠司代表は連名で米原ルートへ変更するよう6月18日に、国交省に提言している。もっとも、同じ日本維新の会でも、吉村洋文共同代表は大阪府知事として小浜・京都ルートを支持している。

馬場氏と前原氏の提言では、「リニア中央新幹線の開業も考慮すべき」としている。リニアが全線開業すれば東海道新幹線の過密ダイヤが緩和され、米原で東海道新幹線への乗り入れが可能になるという。

ただ、国交省は北陸新幹線の東海道新幹線乗り入れは運行管理システムの違いなど、技術的な理由から困難と考えている。

運行管理システムは東海道新幹線がJR東海の「COMTRAC(コムトラック)」、北陸新幹線がJR東日本の「COSMOS(コスモス)」を採用している。元はどちらも国鉄時代に開発されたコムトラックであるが、国鉄分割後、JR東海は東海道新幹線の輸送力増強に対応する形でコムトラックの機能を拡充したのに対して、JR東日本は東北新幹線・上越新幹線に北陸新幹線が加わり、山形新幹線、秋田新幹線など新在直通への対応も必要となった。そのため、1995年に全面的なシステムの見直しを行い、新たにコスモスを開発した。

このように開発の方向性が大きく分かれた2つのシステムを統合するのは困難だというのが国交省の考え方である。馬場・前原両氏の提言では「財政支援による運転保安投資を行えば直通運転が可能になる」と楽観的だが、過去に銀行のシステム統合でトラブルが何度も起きたことを見ればそんな単純な話ではないように思われる。

2025年度に着工できるのか

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