誰がなぜ?北陸新幹線「米原ルート」再燃の震源地 小浜・京都ルート2025年度末着工は課題山積
東洋経済オンライン / 2024年9月16日 7時0分
小浜・京都ルートに決まったものの…
状況が混迷する中、敦賀から小浜市経由で京都駅に乗り入れる小浜・京都ルートという新たなアイデアをJR西日本が提案した。京都─新大阪間は東海道新幹線に乗り入れず、新たに設ける地下トンネルで結ぶ。京都市を通ることで旅客需要を望めると同時に、小浜市を経由するので福井県にも魅力的なアイデアである。
当時、JR西日本は「ルート選定で率先して意見を言える立場ではない」と前置きしたうえで、「営業主体として将来意見を求められる可能性を考え、さまざまな勉強を続けていた」と提案の理由について説明していた。
さらに、小浜から舞鶴まで西進して山陰本線沿いに京都市に南下、新大阪に進む舞鶴ルートも登場し、5案で検討が進められた結果、まず、若狭ルートと湖西ルートが外れ、最終的に小浜・京都ルートの採用が決まった。関西広域連合や北陸3県も賛成した。
京都―新大阪間のルートが未決定で引き続き検討されていたが、2017年3月に京田辺市付近を通る南回りルートで決まった。京都駅の位置などの詳細はさらに検討されることとなった。建設主体となるJRTTは2019年から環境影響評価手続きを開始するとともに、具体的な工事の進め方に関する検討もスタートした。
しかし、2020年になって金沢―敦賀間で工事の遅れや工事費用が膨らんでいることが判明し、開業時期が延期されることになった。小浜・京都ルートの工期は15年、事業費は2.1兆円と試算されていたが、同様の事態となるのではないかという懸念もあり、工期が短く費用も割安な米原ルートの再考を求める声がこの頃から出始めた。
実際、その懸念は当たっていた。国土交通省とJRTTは8月7日、与党PTの整備委員会で京都新駅の設置場所およびルートを3案示したが、その際に物価上昇を最大限考慮した場合に事業費は当初想定の2.1兆円から最大5.3兆円に増え、工期は当初想定の15年から25〜28年へ延びる可能性があるという試算を示した。
では、誰が米原ルートへの見直しを訴えているのか。沿線府県の各知事や経済団体トップなどの発言を読むと、おおむね理解を示しているように思えたが、石川県の馳浩知事の発言が気になった。
「3案に関わる事業費、工期などが報告され、事業費が5兆円、工期が約25年と、当初の想定を大幅に上回ることが明らかになったと承知しております。今後は、こうしたデータも踏まえて、施工上の課題への対応はもとより、着工5条件(編集部注:財源見通し、投資効果、並行在来線問題など着工にあたっての基本的な条件)をクリアできるのか、本格的な議論が開始されるものと考えております。国交省には、より詳しい説明を求めたいと思います」
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