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「小泉進次郎首相」なら日本株は上昇するだろうか 自民党総裁選で最も株価が上がりそうな候補は

東洋経済オンライン / 2024年9月16日 9時30分

そもそも、日本の労働市場の問題が大きいようにみえるのは、解雇ルールが曖昧であることよりも、長期デフレの中で賃金の価格シグナル機能が働かなかったことが大きく影響していた。2024年にようやく賃上げが起こりつつあり、労働市場の流動化を通じた生産性向上を実現しつつあるのだから、金融財政政策を徹底して経済成長率を高めることがまず前提になる。小泉氏らがこの点を、十分理解しているかは定かではない。

石破茂元幹事長については、安倍政権時代からアベノミクスの成果を一貫して否定していた。今回示された政策集では、「経済あっての財政との考え方に立ち、デフレ脱却最優先の政策運営を行う」と書かれている。推薦人を集めるにあたり、金融財政政策の考え方を改める政治的な妥協が行われたのだろう。

ただ、つい最近も金融所得課税を引き上げる考えを示しており、地方政府への補助金支出にも積極的とみられ、再分配政策が強化されるだろう。結局、石破氏の根本の考え方は変わっていないとみられ、マクロ安定化政策が徹底されずに再分配政策だけが強まることになれば、日本経済は再びデフレと低成長に戻るリスクに直面する。

また河野太郎デジタル相からは、金融財政政策についての目立った言及はない。小泉氏のように強い関心がない、あるいは石破氏同様に拡張的な財政金融政策に否定的なのかははっきりしないが、後者に近いのではないかと筆者は警戒している。

従来の持論であった原子力発電所の廃止論などについては、実情に沿ったエネルギー政策にシフトしている。また、「納税者の確定申告の義務化」との考えを示したが、これはマイナンバー制度によって税務プロセスを効率化するということだとみられる。行政の効率化にはつながるだろうが、日本経済の成長率にはほとんど関係ないので、同氏が首相になっても日本株市場へのポジティブな影響はほとんどないだろう。

石破氏や河野氏ならデフレ逆戻りのリスク浮上も

一方、有力候補とはみなされていないが、茂木敏充幹事長が「古い財務省の考え方を転換する」「経済を成長させることによって税収を上げていく。その資金によって成長分野への投資を進める」と発言したことが注目される。

なぜこの考え方を持って幹事長の立場で党を動かし、岸田政権をサポートしなかったのか、その理由はわからない。だが、有力閣僚を務めた重鎮の有力政治家が「増税が不要」との考えを示したことの意味は小さくない。

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