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氷衛星の地下、液体を湛える海に生命はいるのか 「地球外生命」探査の最前線に迫る

東洋経済オンライン / 2024年9月17日 17時0分

「地球外生命」探査の最前線に迫ります(写真:Eliff/PIXTA)

地球外生命探査でとりわけ注目されているのが、木星の衛星エウロパと、土星の衛星のタイタン、そしてエンケラドスです。『新版 宇宙に命はあるのか』より一部抜粋・再構成のうえ、氷衛星の生命探査、氷底探査、それを可能にする最新技術・力覚フィードバックを用いたヘビ型ロボット「EELS」についてご紹介します。

氷衛星の生命探査

人類は既に火星の先を見据えている。木星以遠には氷でできた衛星がたくさんあって、そのいくつかは地下に液体の水を湛える海がある。地球外生命探査の観点でとりわけ注目されているのが、木星の衛星エウロパと、土星の衛星のタイタン、そしてエンケラドスである。

2023年、欧州宇宙機関(ESA)はJupiter Icy Moons Explorer、略してJUICE(ジュース)という探査機を打ち上げた。日本もこの計画に参加している。JUICEは2031年に木星に到着したのち、その衛星のガニメデ、カリスト、エウロパをフライバイし、最終的にガニメデの周回軌道に入る。

一方のNASAはエウロパ・クリッパーという探査機を2024年10月に打ち上げる予定である。「クリッパー」とは19世紀に世界の大洋を航海した快速帆船のことだ。JUICEより少し早く2030年に木星を回る軌道に乗り、50回近くにわたってエウロパをフライバイして観測する。氷透過レーダーなどを用い、エウロパの氷殻とその下にある海について調べる予定である。

さらにエキサイティングな計画が土星の衛星タイタンを目指して進んでいる。英語でトンボを意味する「ドラゴンフライ」と名付けられたドローンを、タイタンの空に飛ばす計画だ。

タイタンには地球よりも濃い大気があり、しかも重力は6分の1なので飛ぶのは簡単だ。ドラゴンフライは2年間にわたって数100キロを飛行し、さまざまな場所で地表の化学組成を分析して、生命発生の前段階の化学的進化を調べたり、バイオシグネチャーを探したりする。打ち上げは2028年、タイタン到着は2034年に予定されている。

打ち切られてしまった計画もある。2018年2月に出版された旧版(『宇宙に命はあるのか』)でエウロパ・ランダー計画について書いた。エウロパに着陸し、地表の氷を掘ってバイオシグネチャーを探す構想だった。しかし同年11月のアメリカ中間選挙でこの計画を支持していた議員が落選した影響で予算が打ち切られ、プロジェクトは中止されてしまった。国家予算による宇宙探査は政治の影響を避けられない。

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