1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

"悪口"が大問題に発展「キャリア喪失」の「まさか」 チャットや飲み会 愚痴は誰にでもあるが…

東洋経済オンライン / 2024年9月17日 8時0分

あまりのひどい言い草に、Mさんも派遣社員の女性も面食らったが、直属の上司からのチャットだけに無下にもできない。

「そうかもですね」と、はぐらかすように受け答えしていると、それに"共感している"と思われたのか、ますます悪口はエスカレート。

同僚のみならず、自分たち秘書が支えるべき役員に対しても、蔑みの言葉を書き連ねていることに、Mさんと派遣社員はさすがに「ヤバい」と思ったらしい。悪口への返信は書かずに、時折リアクションの顔マークを入れるまでにとどめるようになった。

それでもK係長の悪口攻撃はやまなかったという。

「これがいつまで続くかと思うと気が滅入ってしまって、よく眠れないんです。それにチャットが次から次へと来るので、気が散って、業務も滞りがちになってしまいました」

そう嘆くMさんの言葉に、危機感を抱いたY課長。Mさんの承諾を取り、チャットの中身を見せてもらうと、書き込みの多くはK係長に消されていて、証拠となる文面はほとんど残っていなかった。

「そこで萬屋さんにご相談なんですけど、システム担当にお願いして、削除されたチャット内容を復元できないでしょうか。私としては事実を突き止めて、しっかりと対処したいです」

Y課長の並々ならぬ決意に賛同した私は、すぐさまシステム担当に依頼。復元してもらうと、そこにはおびただしい数の書き込みが記されていた。

社長にも揶揄するようなあだ名を命名

K係長からの悪口チャットの数は、およそ2000通。A4用紙にプリントアウトすると、数百枚にのぼった。

驚いたのはそれだけではない。悪口の対象者一人ひとりに「あだ名」を付けていたのだ。そのあだ名の数々は、不謹慎だが、クリエイティビティに富んでいた。

「しゃくれメガネ」に「付け鼻おじさん」、社長に至っては、古代に絶滅している化石になぞらえて、「アンモナイト(略してアンモ)」と呼んでいた。ちなみに、私に付けられていたあだ名は、「ミスター凡人」。悪口までは書かれていなかったが、複雑な心境になった。

これらのプリントはとてもじゃないが、当事者たちに見せられない。極秘中の極秘扱いにし、秘書課と人事の上層部、そして法務部のごく一部の社員で、K係長の問題行動への対応を協議した。

K係長が引き起こした問題は、主にこの3つ。

①社内チャットを業務以外のことに乱用したこと

②そこで他者を侮辱するような悪質な書き込みを行ったこと

③それらの行為によって部下にストレスを与え、業務の滞りを招いたこと

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください